犬山イヌコ「稽古場で何回見ていても面白いです」 KERA舞台初の時代劇に挑む!
文学作品から評伝、SFに家族劇、ナンセンスコメディと、幅広い作品を生み出し、いまや日本の演劇界を牽引するケラリーノ・サンドロヴィッチ (以下、KERA) さん。犬山イヌコさんは、そのKERAさんと劇団・ナイロン100°Cの前身である劇団健康時代から現在まで、共に演劇活動を続けてきた。 KERAさんの書く笑いは、稽古場で何回見ても面白いです。 「KERAさんがやっていた有頂天というバンドで知り合ったんですが、当時、ライブの合間に寸劇みたいなものをやっていて、すごく面白かったんです。そこから劇団を立ち上げることになって、何もわからないまま始めた感じだったから、KERAさん自身も、こんなに続けるとは思ってなかったんじゃないかな」 いまや劇団は結成30年以上に。 「劇団健康の頃はナンセンスコメディをやっていたけれど、途中からKERAさんが、人間模様の説得力にどんどん厚みを持たせた作品を書くようになっていったんですよね。そこをしっかり描いたうえで、とんでもなくくだらないことをやったり、気持ちの悪いものをやったり、かと思えば大河ドラマのような重厚な作品をやってみたり。次々といろいろな作品を生み出していますけれど、いつまでもずっと面白いです」 ただ、そんなKERAさんらしい会話の些細なズレや間が生み出すなんとも言えないおかしみも、それを理解して演じられる俳優がいてこそ。まさに劇団員がそんな存在だ。 「KERAさんは当て書きされることが多いんですが、台本を読みながら、このセリフを誰が言うのか想像しながら読むと面白いんです。なのに、実際にその人が演じるのを見ると、こっちの『それそれ』っていうのを超えてくる気持ちの良さがある。笑いって何度も見るとだんだん飽きて面白くなくなるものですが、この役者のココっていうところにストンとセリフがハマった場面は、稽古場で何回見ていても面白いです」 犬山さんは、そんな笑いの部分をこれまでも多く担ってきた人。それは、KERAさんの信頼の表れ。 「大事なのは役として新鮮でいること。ナンセンスコメディの場合、そんなことないよって展開もたくさんあるけれど、作品の中の人にとって嘘がなければ成立するんです」 49回目を数える今回の劇団公演は『江戸時代の思い出』。なんと初の時代劇になる…らしい。 「まだ台本が最後まで上がっていなくて、現代も出てきたりします。しかもKERAさんは、時代劇には全く造詣が深くないと公言してまして (笑) 、でもだからこそどんなものを書いてくれるのか楽しみです。いまや劇団員もいい歳になって、大河ドラマに出ているような人も多いんです。そんな錚々たるメンツが、たぶんとってもくだらない時代劇をやることになるわけで、そんなものなかなかないと思うので、観た方がいいんじゃないでしょうか (笑)」 ナイロン100°C結成30周年記念公演 第二弾 ナイロン100°C 49th SESSION『江戸時代の思い出』 6月22日 (土) ~7月21日 (日) 下北沢・本多劇場 作・演出/ケラリーノ・サンドロヴィッチ 出演/三宅弘城、みのすけ、犬山イヌコ、峯村リエ、大倉孝二、松永玲子、安澤千草、藤田秀世、喜安浩平、眼鏡太郎、猪俣三四郎、水野小論、伊与勢我無、木乃江祐希、池田成志、坂井真紀、奥菜恵、山西惇 全席指定¥7,600ほか キューブ TEL:03-5485-2252 (平日12:00~17:00) 新潟、兵庫、北九州公演あり。 いぬやま・いぬこ 12月16日生まれ、東京都出身。俳優として活躍する一方、アニメ『ポケットモンスター』のニャース役や洋画の吹き替えなど声優としても活動。最近の出演作に、舞台『骨と軽蔑』、映画『PERFECT DAYS』など。 ※『anan』2024年6月26日号より。写真・小笠原真紀 インタビュー、文・望月リサ (by anan編集部) あわせて読みたいanannewsEntame 水川あさみ、KERA舞台は「目で見て楽しいですし、登場人物も奥行きがあり…2024.2.17anannewsEntame KERA×緒川たまき作品に出演! 音尾琢真「日々精神統一して、仙人のよう…2023.10.3anannewsEntame 伊藤沙莉、KERA舞台で“昭和の笑い”に触れ「じつはコテコテこそ一番難し…2022.7.31anannewsEntame KERA「異端児の括りだった」あの頃を振り返る2018.10.18anannewsEntame 面白いだけで25年! 本人たちが語る「ナイロン100°C」の魅力2018.4.10