バイデン氏、景気回復のアピール空振り-食費高騰が支持獲得の妨げに
(ブルームバーグ): 11月の米大統領選で再選を目指すバイデン大統領は、景気回復やインフレ緩和の兆候を実績として繰り返し強調している。しかし、有権者が家計負担の軽減を実感するのは難しそうだ。
新型コロナ禍直前からの食料品価格の上昇率が25%余りと、消費者物価全体の上昇率を5ポイント上回っているからだ。
バイデン氏は消費者の怒りの矛先を食品会社や食品スーパー向けようとし、業界大手が市場支配力を乱用し、顧客を犠牲にして利益率を高めていると非難する。しかし、消費者は定期的な食料品の買い出し(平均的世帯では週3回)を通じて経済に対する不満を抱え、生活コストの高さを常に実感している。
食費の高騰はバイデン氏に対する支持の妨げになっており、とりわけマイノリティー層など民主党の重要な支持基盤の間でそれは顕著だ。
社会的に疎外されている人の有権者登録を支援する団体「ザ・ニュー・ジョージア・プロジェクト」の幹部、ケンドラ・コットン氏は、特に黒人から食料品や日用品にかかるコストについて聞かされると指摘。大統領が実際どれだけコントロールできるかにかかわらず、バイデン氏を非難する声が多いという。
「政府は『自分のために何もしてくれない』という意見をたくさん耳にすることになるだろう」とコットン氏は語った。
激戦州のジョージア州では、低所得者層がバイデン氏に大きく反発しており、これは全米の傾向とも重なる。
バイデン氏は2020年選挙で同州を僅差で制し、世帯収入5万ドル(現在の為替レートで約745万円)未満の有権者の間で最も強い支持を得た。しかし、ブルームバーグ・ニュースとモーニング・コンサルタントの共同世論調査によれば、現在では同収入層での支持率はトランプ前大統領が50%、バイデン氏が41%となっている。
食料品業界団体FMIが2月に行った世論調査によると、食料品購入費用について「非常に心配している」との回答は全米の消費者の7割に上り、ガソリンや家賃など他のどの支出項目よりも多かった。昨年12月時点では、食料を買うのに十分なお金があるか心配だと答えた人は全体の42%。2020年3月のパンデミック発生時には26%だった。