<センバツ・夢へ続け!>仙台育英/上 「初志貫徹」でいざ頂へ 困難乗り越え2年連続切符 控えメンバーの奮起が力に /宮城
「初志貫徹」――。仙台育英の須江監督は1日夕、2021年のスローガンを部員に発表した。現メンバーは新型コロナウイルスの影響で甲子園が中止になりながらも、力いっぱいプレーを続けた3年生の姿を見てきた。「どんな困難があろうと、ぶれずに最後まで(志を)貫いてほしい」と話し、選手たちはセンバツに向けて気持ちを新たにした。 ◇ 昨秋の県大会と東北地区大会でともに優勝し、仙台育英は2年連続14回目のセンバツ選出を果たした。しかし、新チーム発足後はけが人が続出し「ベストメンバーを組めた試合はなかった」(須江監督)ほど。決して順調な道のりではなかった。その中で甲子園の切符を再びつかめた要因は「ベストメンバー」に入れなかった選手たちの奮起だった。 今年の仙台育英で一番の強みといわれるのが投手陣。最速147キロ右腕の伊藤(2年)が主軸だが、伊藤以外に柱となる存在が欠けていた。その中で頭角を現したのが松田(2年)だった。 松田は昨夏の東北大会決勝に4番手で登板したが、聖光学院(福島)に完敗。悔いが残る結果に「3年生の分まで、センバツの切符をつかむ」と誓った。持ち味の制球力を更に磨くため、バッティングティーに乗せたボールを目がけて投球を重ねる独自の練習法を編み出し、ストライクが入るだけではなく、コースに投げ分けができるようになった。球速も入学時から10キロアップし144キロに。秋季大会では4試合に登板し、チーム最多の25三振を奪った。 主将の島貫も秋の公式戦を通してレギュラーに成長した一人だ。学年のまとめ役として主将に選ばれた2年生外野手は、県大会で背番号15を付けていた。目標としていた先発メンバー入りを逃したが「メンバー外の約40人の分までやらなくちゃ」と立ち上がった。ボールの見極めや状況に応じた打撃練習に重点を置いた結果、東北大会では背番号9をもらった。「苦労した分の結果が返ってきた」 自身だけでなく、仲間にも奮起を促した。県大会を控えたある日の練習。主力選手が故障によって次々と離脱し、今ひとつピリッとしなかった。そんなチームのムードを変えるため、「自分たちが(先発メンバーの)背番号1桁にはい上がれるように練習しよう」と控えに回った部員に気合を入れた。 甲子園の開幕まで、更に激しいレギュラー争いが続く。聖地で目指す「志」は、もちろん日本一だ。【面川美栄】