「開発チームがうそつき」試用期間終了後に“即解雇”… さらに会社側が提訴に至った新入社員の“トンデモ”な振る舞いとは
Xさんは、入社してソッコーで上司の業務命令を拒絶。「すべての工程に参加しないと、この仕事を担当することはできない」と反抗的な態度に出ました。 その後、いろいろな問題行動を起こしたため、会社はXさんを3か月の試用期間終了と同時に解雇しました。 裁判所は「この解雇はOK。Xさんの問題行動は度を超えている」と判断。(大宇宙ジャパン事件:東京地裁 R5.2.22) 試用期間であろうと解雇するのはカナリ難しいのですが、今回のXさんは度を超えていると判断されました。以下、分かりやすく解説します。(弁護士・林 孝匡) ※ 争いを簡略化した上で本質を損なわないよう一部フランクな会話に変換しています
登場人物
■ 会社 情報通信システムの開発、運用などをする会社 ■ Xさん 男性(国籍:中国)
どんな事件か
Xさんは入社してから約3か月で解雇されました。試用期間中の解雇です。会社がXさんを解雇した理由は「必要な事務または技能を習得する能力がない」というもの。以下のようなトラブルがあり、会社は解雇に踏み切りました。順番に見ていきましょう。 ■ 入社早々... Xさんは最初に配属されたプロジェクトにおいて業務命令を受けたのですが、「すべての工程に参加しないと、この仕事を担当することはできない」と拒絶。引き継ぎを担当していた社員を怒鳴りました。 ■ 自分のやり方に固執 Xさんは上司に対して、ほかの社員のことを「なぜこの人がこのチームなのか」「自分のやり方で進められないならプロジェクトを中止せざるを得ない」「プロダクトマネージャーとプロジェクトリーダーをプロジェクトから外さないと気が済まない」と発言。 上司は「チームの輪を乱すことは問題だ」と指摘しましたが、自らの言動を改善させませんでした。 ■ イチャモンをつける ほかの社員が顧客と合意していた成果物について、Xさんはイチャモンをつけました「成果物はこうでないとダメ。これならもっと工数を稼げる」「開発チームがうそつきだと思った」などです。 ■ 風紀委員かよ ほかの社員がイヤホンで音楽を聴いていたときのことです。この社員は会議前に集中力を高めるために音楽を聴いていたのです。 するとXさんはその社員に対して「仕事中に音楽を聴くことはダメだ」と指摘し、社員と口論になりました。音楽を聴いていた社員は、新入社員が何をエラそうに! と思ったでしょうね。 ■ 顧客先からNoを突きつけられる 会社はXさんを顧客先に配属するために顧客先との面接を受けさせました。しかし結果は不採用。理由は、Xさんが顧客の発言を理解することができず、食い違う回答を繰り返すなどしたからです。 ■ 社員を批判 業務企画室の社員に対して「うそつきもの」「自分がその人を見つけて告訴する」「時間がたったら証拠が消えてしまう」「指示なく席を移動したことを経営者層に告げる」など。 会社は、以上のようなXさんの行動に耐えきれず、3か月の試用期間満了と同時にXさんを解雇しました。 普通ならXさんが「解雇は無効だ!」と提訴するんですが、今回は会社が提訴しています。「正当な理由で解雇したんだから、Xさんがわが社の社員じゃないことを確認してほしい」という請求です。