東日本の物流の要に 2015年10月に県内区間全線開通した圏央道 雇用、税収にも大きく寄与 埼玉の近隣6都県の中核都市に約1時間半でアクセス 沿線地域には大型物流施設をはじめとした企業立地が相次ぐ
残る神奈川県区間(藤沢IC―釜利谷JCT)の完成時期は未定だが、千葉県区間(大栄JCT―松尾横芝IC)は26年度中に開通予定。国交省関東地方整備局道路部の三條憲一課長は「沿線では物流拠点や小売店舗が続々と立地している。来春の県内区間の全線4車線化で、防災・減災にも強いネットワークを構築したい」と話している。 ■整備効果、年間3千億円 災害時の代替ルートも 圏央道は都心から半径約40~60キロに位置し、その内側を走る首都高速中央環状線、東京外郭環状道路(外環道)と合わせて「3環状」と呼ばれる。 3環状は東名高速、関越道、東北道といった都心から放射状に広がる高速道路と直結することで多様な機能を発揮。中でも圏央道は東京湾アクアラインとの相乗効果で、港湾や空港の国際貨物輸送や外国人観光客の回遊性の向上、災害時の代替ルートの多重化など首都圏経済へのストック効果は大きい。 民間シンクタンクの調査では、圏央道の整備に伴う経済効果(国内総生産の押し上げ)は年間で約3千億円。沿線の1都4県(東京・神奈川・埼玉・茨城・千葉)では運輸業とサービス業それぞれの寄与度が約3割と最も高く、物流拠点や商業施設の立地が増えている裏付けを示している。
だが、1963年の計画の立ち上げから61年たった現在でも未開通区間が存在する。国交省によると、3環状の整備率は10月末現在で約82%で、圏央道は約90%。都市交通計画が専門の久保田尚埼玉大学名誉教授(66)は「環状道路としての機能を十分に発揮するためには、放射状に広がる東埼玉道路や新大宮上尾道路などの自動車専用道路や核都市広域幹線道路とともに、いかに早期整備を進めるかが重要」と話した。