「目指すはパリ五輪出場!」豊田市出身・山本有真選手の寮生活に密着!
有真選手のブレークのきっかけは去年7月に行われたアジア選手権。なんと日本人史上初の金メダルに輝くと、そこから3か月、世界選手権、アジア大会に日本代表として出場。さらに、秋の実業団駅伝では2区に抜擢されると、いきなり区間賞デビューを果たすなど大躍進と1年となった。
去年10月、およそ半年ぶりに豊田市の実家に戻ってきた有真選手。父にアジア選手権の金メダルを渡した。娘が獲得した金メダルに、父は「重いですね。今までのメダルより重いですね。3つの大きな大会。タイ・ハンガリー・中国に行かせてもらったなんて考えられないですね。本当に楽しかったです。短い期間で欲が出て今度はパリに行きたいなと思っちゃうんですけど…」と喜びを滲ませた。
プレッシャーとの戦い、自分の弱さを痛感
大きな活躍を果たした2023年。しかし、有真選手にとっては、大きなプレッシャーと戦った日々でもあった。「思い描いていた世界選手権ではなかった。本当に苦い経験しかできなかった」と、涙ながらに語る有真選手。 昨年9月のアジア大会終了後、日本に帰ってきた時、プレッシャーから解放されたのか涙が止まらなかったという。「自分って怖かったんだなと感じて。日本代表は本当にありがたいことなんですけど、本音はすごくしんどかった。選ばれてあんなに喜んだのに、実際に出場する前になったら怖くて。“走れなかったらどうしよう”、“日本代表なんだから結果を出さないといけない”という気持ちが先行しちゃって、逆に練習で空回りしてケガをするなどうまくいかないことの方が多かった。自分の弱さを痛感した」と当時の心境を明かした。
沈む気持ちを何とかしようと、帰省中に訪れたのは原点の場所だった。原点の場所で、一緒に中学生たちと走って思い出した陸上への思い。「陸上始めたのが中学校からですけど、あのときのチームメートや先生たちが、陸上を楽しいと思わせてくれたから、今も続けられているのかなと思います」と話した。
自己ベスト更新!次なる目標はパリ五輪への出場
昨年12月、有真選手にとってシーズンラストレースとなった記録会。大学時代の自己ベスト記録15分16秒に挑んだ。すると、得意のラストスパートにて力を発揮。風の影響などで、自己ベストとはいかなかったが、日本人トップの成績で2024年につなげる走りをみせた。 レースについて、「世界選手権で海外選手に置いていかれた背中が忘れられなかった。海外選手の背中を思い浮かべながら走れて、収穫になった」と振り返った有真選手。彼女の走りについて監督は、「どちらかというと彼女はスピードが武器なので、今後もスピードに特化した練習をしていきたい。まだベストが15分16秒なので、あと5秒10秒をあげられるよう、この冬期はスピードを見直しながら強化をしたい」と練習プランを語った。
今後の抱負について、有真選手は「まず2月にアジア室内陸上大会に日本代表で選ばれたので、パリ五輪のためワールドランキングをあげるのが先の目標。アジア室内で3位以内に入れば、ワールドランキングで選ばれる状況になってくる。あとは、6月の日本選手権で3位以内に入るのが条件になるので、6月の日本選手権までに、15分10秒以内を出せる力をつけていないといけない」とコメント。 また、パリ五輪について尋ねると、「(パリ五輪)めっちゃ行きたいんですよ。気合い入れて頑張らないと、つかめない切符だと思うけど、めっちゃ行きたいです」とオリンピック出場への熱い思いを語った。