先が見えない現状でも“復興後”を語る「古美術店をまたこの地で…」~記者が見た能登半島地震:被災地取材リポート
雪を溶かして生活水に…そんな状態でも前を向く
宮崎さんは現在、輪島朝市の近くにある自宅の2階部分で寝泊まりしている。電気は来ているが断水は続く。店の外には雪がたまったバケツが並べてあった。積もった雪を溶かして水にし、洗濯などに使っているのだという。私が被災地に滞在したのはわずか4日間だが、それでも断水下の生活の困難さを思い知らされた。トイレは使えないため、段ボール製の簡易トイレを使用した。手も洗えない。もちろん風呂にも入れないので、ボディーシートで体を拭くことしかできなかった。そんな生活がいつまで続くかわからない被災地の人々。思い切って宮崎さんに尋ねた。「この朝市でまた営業再開したいですか?」私の質問が終わらないうちに、かぶせるように宮崎さんが答えた。「できればやっぱりやりたいです。」まったく先が見通せない状態にも関わらず、宮崎さんは力強く言葉を続けた。「街がずたずたになっているから、観光客が果たしてまた来てくれるのかどうか。でも、ここは観光の町ですから。できればこの場所で、もう一度やりたいです。」一人でも多く被災者の声を伝えていきたい。改めてそう思った。 (RKB毎日放送報道部 記者 浅上旺太郎)