アントニオ猪木議員も疑義 東京五輪の暑さ対策は大丈夫か?
北京五輪のマラソンは早朝スタート
ヒートアイランド化で、もっとも心配されているのはマラソンです。今年1月に開催された香港国際マラソンは気温17度、湿度84%のコンディション下でしたが、死者1名、40名が病院に搬送される騒ぎになりました。東京オリンピックでも同様の事態が懸念されています。 2000年以降に開催されたシドニー・アテネ・北京・ロンドンの4大会のうち、シドニーオリンピックは9月15日に開幕しましたが、南半球の季節が春のため気温は問題になりませんでした。 アテネオリンピックは気温が問題視されたため、マラソンは暑さが和らぐ現地時間の18時にスタート時間を設定しています。それでも、夕方までに暑さが和らぐことはなく、競技時間中に35度を超える過酷な環境になりました。 2008年の北京オリンピックのマラソンでは、アテネの反省を活かして早朝7時30分にスタートすることになりました。対策はそれなりに奏功して、レース中の最高気温は29度でした。それでもマラソンに適している気温ではありません。 2016年のリオデジャネイロオリンピックの開催時期は8月5日~8月21日ですが、南半球での開催のため、気温の議論はなされていないようです。こうして過去のオリンピックを振り返ってみると、抜本的な暑さ対策がなされていないことがわかります。 1964年8月の平均気温は27.8度、昨年の8月の平均気温は29.1度。50年以上が経過して、東京の環境はめまぐるしく変化しました。“東京の暑さ”は、東京オリンピック開催の最大の障壁といえるかもしれません。 (小川裕夫=フリーランスライター)