役目終える「手書きスコアボード」…試合ない球児が紙取り換えたり、名前書いてもらったり「高校生に助けられてきた」
鳥取県米子市のどらドラパーク米子市民球場で今夏、手書きで選手名を表示していたスコアボードが役目を終える。高校野球では、地元高校生らが紙に名前を書き、球児らが選手交代のたびに取り換えていた。熱戦を彩ってきた球場の「名物」は時代の流れもあり、LED仕様の掲示板として姿を変える。(東大貴) 【写真】選手名が手書きされてきたスコアボード(2023年の高校野球鳥取大会から)
球場は1990年に完成し、収容人数1万6000人を誇る。高校野球の地方大会のほか、プロ野球・広島カープなどが一軍の公式戦を行ってきた。2014年5月には新人だった米子市出身の広島・九里亜蓮(くりあれん)投手が凱旋(がいせん)登板している。
スコアボードのチーム名や得点表示は、バックネット裏から遠隔操作できる磁気反転式。縦横に並んだ小さな樹脂製の板を浮かび上がらせてきた。一方、選手と審判名は手書きのままだ。
選手名は大きなはけと白ペンキで黒い紙(縦120センチ、横45センチ)に記されてきた。県高校野球連盟は選手名が記された紙を多数、球場に保管しているが、ストックにない名前については、大会が迫るたびに県立米子東と米子西両高の書道部員に作業を依頼してきた。
山陰両県の春の県大会上位2校ずつが集まった今月上旬の山陰高校野球大会でも、試合のない県西部の学校の球児が、選手交代がアナウンスされるたびに紙を取り換えていた。県高野連の川下忍副理事長は「名前を書いてもらったり、スコアボードで名前を取り換えてもらったりし、大会運営では高校生に助けられてきた」と話す。
しかし、得点表示などに不具合が相次いだことや、運営の効率を高めるため、市はスコアボード自体を新調することを決定。改修費1億9800万円を盛り込んだ議案は6月議会に提案され、可決されている。8月から工事が始まる予定だ。
市はほかにも3億円余りをかけ、照明の水銀灯をLEDに交換する作業を行う。工事は来年3月に終える見通しで、今後、さらに老朽化した場所を改修していくという。
市スポーツ振興課の担当者は「スコアボードには30年以上、野球を通じた地域活性化に貢献してもらった。球場の改修で、プロ野球一軍公式戦などの利用を促し、地域の盛り上げにつなげていきたい」と期待している。