幹事長を信用できない総理に解散はできない…『選挙の神様』久米晃と『ベテラン政治記者』星浩が政局ぶった切り「自民党を壊した岸田総理」
---------- 岸田政権が手にしたはずの「黄金の3年」とは一体何だったのか。政権を襲う危機にことごとく悪手を打った岸田総理。9月に総裁選を控え、崖っぷちの状況だ。はたして現状を打開する秘策はあるのか。 ---------- 【一覧】「次の首相になってほしい政治家」ランキング…上位に入った「意外な議員」
まるで「人民裁判」
星 自民党は派閥の裏金問題について、安倍、二階両派の議員39人に処分を下しました。自民党本部の事務局長や選対本部事務部長などを歴任し、40年近くにわたって全国の自民党選挙に携わってきた久米さんの目にはどう映りましたか? 久米 今回の処分は、人民裁判のようになってしまいましたね。世論に押されて厳しい処分をせざるをえなくなったように見えます。そもそも、処分に基準があるかといえば、ないでしょう。パーティー券をめぐる裏金は、捜査の結果、議員の法的責任は不問となったはずです。しかし、党に迷惑をかけたから、という理由で処分した。 星 裏金問題は、今も真相が明らかになっていません。にもかかわらず処分を下したのは、たしかに特異なケースです。どの企業の不祥事でも、第三者委員会が真相を解明して、そのうえで関係者を処分するものです。
すべてが行き当たりばったり
久米 コロナ禍で銀座に飲みに行った議員を離党勧告にしたから、今回もそれにならって処分を下したという基準しか見当たりません。 星 それ以外は、キックバックされた金額と役職で処分にさまざまなバリエーションがありましたが、それは政治的な判断で線引きされました。岸田(文雄)総理は処分を急ぐことで、早く幕引きを図りたかったのでしょうが、逆に国民側は政治不信が高まってしまったのではないでしょうか。 久米 処分で政権支持率が高まることはありえないでしょう。よくて現状維持か、さらに下がると考えるのが普通です。 星 今回の処分に限らず、岸田総理はすべてが行き当たりばったりです。総理が発言すると、それなりに物事は動く。しかし、着地点を考えずに発信しているので、花火は上がるが、しぼんでしまう。 派閥問題も、率先して岸田派解散を打ち出し、すべての派閥を解消しようと動いたが、麻生太郎副総裁と茂木敏充幹事長が派閥を残したことで阻まれた。裏金問題でも、自ら政治倫理審査会に出席して真相解明に動いたのに、世耕弘成前参院幹事長や下村博文元文科相らの不明瞭な答弁に阻止された。
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