「決断は2日前」筒香嘉智32歳が明かす横浜DeNAベイスターズ復帰の舞台ウラ…巨人入り報道で“裏切り者”呼ばわりも「少し嬉しかった」
4月20日。5年ぶりに横浜DeNAベイスターズへの復帰を決めた筒香嘉智外野手が、横須賀スタジアムでの巨人との二軍戦で実戦復帰を果たした。 【写真】「食事は冷めたピザばかりだった」筒香の独立リーグ時代、不運のレイズ→びしょ濡れのパイレーツ→横浜への感動的な帰還までの軌跡とあわせて見る
古巣ベイスターズで“まさかまさか”の復帰劇
「4番・DH」で先発出場。 「この実戦では久々の日本人投手の間合いを計りたいと思っていたのですが、まさかまさかでした」 こう苦笑いを見せた復帰初戦の巨人の先発は、日本人ではなくまさかのヨアンデル・メンデス投手。しかも第1打席は初球の内角球が右肘にドスン。こちらもまさかのデッドボールでの復帰初打席となった。第2打席は空振り三振。そして待望の初安打は5回2死二塁で迎えた第3打席だった。メンデスのストレートを中前に弾き返すタイムリー安打を放って、初打点もマークした筒香は復帰初戦の感想をこう語った。 「久しぶりの実戦で昂るものがあった。試合をできる喜びを感じながら、幸せな時間でした」 2019年10月7日のセ・リーグ、クライマックスシリーズ・ファーストステージの阪神戦以来、1657日ぶりの実戦でのDeNAのユニフォーム姿だ。二軍戦にもかかわらず駆けつけた2950人のファンからは、応援歌の合唱と大喝采が湧き上がった。 紆余曲折を経た古巣への復帰劇。しかし筒香本人の中では最後の最後は至ってシンプルに、DeNAのユニフォームを着る最終決断はできたという。 アメリカ現地時間の3月21日(日本時間22日)にサンフランシスコ・ジャイアンツが、筒香との契約解除を発表。マイナー契約で招待選手としてキャンプに参加した筒香が、腰の故障からほとんど実戦出場ができないままにマイナー降格となり、自らオプトアウト(契約破棄)の権利を行使して、自由契約となることを選択した結果である。 そこから始まった移籍球団探し。そこで代理人のジョエル・ウルフ氏から「日本の球団も視野に入れて探そう」という提案を受けた。
筒香“争奪戦”は日毎に激しさを増し…
「正直に言って、日本に戻ってプレーするモチベーションが、なかなか上がってこなかった」 筒香は当時を振り返る。 「ただジョエルはこれまでも様々な局面で、代理人というより友人のような感じで意見を言ってくれてきたし、彼の助言に逆らって自分の意見を通して失敗したこともありましたから……」 ウルフ氏の助言を受け入れ、日本の球団を含めた移籍先探しが始まった訳だ。ただ、当然のようにアメリカでプレーする環境はなかなか見つからなかった。一方で日本の球団はポスティング移籍後もずっとコンタクトをとってきたDeNAだけでなく、ここ数年、特に熱心にアプローチをしてきていた巨人や他のパ・リーグ球団などが獲得への動きを見せて“争奪戦”は日毎に激しさを増していく様相となっていった。そうして米国内での移籍が困難になるにつれ、筒香の頭の中でも日本でのプレーという選択肢が次第に大きくなっていくことになった。 そんな葛藤を経て、4月4日には日本でのプレーを決断して帰国。その動きを察知したスポーツ紙が移籍先の有力候補として報じたのが、古巣のDeNAではなく、開幕直前に新外国人選手のルーグネッド・オドーア外野手が退団して、大砲を探していた巨人だったのである。 入り乱れる巨人入り情報。一部スポーツ紙ではあたかも巨人入りが決定したかのように報じられたことで、ネットは荒れた。過激なDeNAファンからは「裏切り者」呼ばわりもされ、筒香に対する批判の声がコメント欄に溢れた。 しかし筒香はそんな批判を読んで、それはむしろべイスターズファンの期待の裏返しだと感じて「少し嬉しかったですね」という。 「実際に巨人入りが報じられたときも、まだ何も決まっていなかったですから。ちょうどその頃、獲得の意思を示していただいた球団から具体的な条件面のオファーをいただいている最中で、自分ではまだ何も決められていなかった時期でした。でも……」 5年前の渡米以来、考えたこともなかった日本でのプレー。マイナー落ちして、いくつもの球団を解雇され、独立リーグでプレーしている間も、常に考えていたのはメジャーでプレーすることだけだった。ただひたすらその目標を諦めずに胸の中にしまい込んでバットを振り続けた。 だからこそ日本の地に降り立って、改めて自分自身に自分が野球をやる意味を問い続けた。なかなか答えは見つからなかったが、やはり何度も、何度も思い返したのは、ベイスターズの一員として過ごした日々だった。
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