【ベトナム】出稼ぎ労働者減少で人手不足、ホーチミン
ベトナム南部ホーチミン市企業協会(HUBA)によると、同市では新型コロナウイルス感染症の流行で出稼ぎ労働者が故郷に帰った後に戻ってこないため、労働力不足に陥っている。12日付VNエクスプレスが報じた。 市労働・傷病軍人・社会事業局傘下の求人予想・労働市場情報センター(FALMI)が企業2,000社余りに実施した調査によると、出稼ぎ労働者や単純労働者を多く雇用する業種の多くの企業で従業員に占める出稼ぎ労働者の比率が60%を超えている。これら業種は、労働者に高度なスキルを求めていない。 市労働・傷病軍人・社会事業局のレ・バン・ティン局長によると、同市は以前は外国人を含め出稼ぎ労働者が多い地方の一つだったが、近年は減少傾向にあるという。数ある原因の中で最も明白なのは、各地方に工業団地や経済区ができて工場が都会と同じように操業しているため、労働者の地元での選択肢が増えたことだ。 求人求職サイト「ベクラムトット」の調査によると、2024年1~8月の単純労働者の求人は前年同期に比べ30%増加したが、求職者数の増加が追いついていない。企業の85%が、採用で苦労しているという。人手不足は製造業だけではなく、他の業種でも生じている。 ソーシャルライフ研究所のグエン・ドク・ロック所長は、ホーチミン市では多くの出稼ぎ労働者がサービス業やフリーランスで働いており、彼らなしでは都市機能が立ち行かなくなる恐れがあると指摘する。電子商取引(EC)の配達員や卸売市場の荷役作業員、飲食店の店員などとして、彼らは都市生活を支えていると述べた。 ロック氏は、出稼ぎ労働者を引き留めるためには市が多くの政策を改善する必要があると強調。「今の離職者の大半は単純労働者だが、長期的にはあらゆる業種で人手不足が起きる可能性がある」と警鐘を鳴らしている。