なんと標高4000m!TVマンが単独で目指した「チベット仏教聖地」である「天空の村」驚きの実態 「低酸素」「スマホなし」どこまで行けるのか?
世界36カ国を約5年間放浪した体験記『花嫁を探しに、世界一周の旅に出た』が話題を呼んでいるTVディレクター・後藤隆一郎氏。 【写真で見る】標高4000m!TVマンが「低酸素」「スマホなし」で単独で目指した「天空の村」のリアルな世界 その後藤氏が旅の途中で訪れた、ヒマラヤ山脈にある辺境の地、チベット仏教の聖地「スピティバレー」で出会った「標高4000mに暮らす人々」の実態をお届けします。 *この記事のつづき:“日本人女性”も巡礼「チベット仏教聖地」驚く世界 ■たどり着いたのは「電波の届かない」辺境の街 カザに到着したのは、午後4時を過ぎた頃だった。
空は透き通るような深くて濃い青色なのだが、街全体は妙に薄暗い。太陽が傾き、四方に囲まれた山々の影に入ってしまったようだ。 到着する前にスマホをチェックしたが、インド北部では使用できたSIMの電波は完全にオフになっている。「まぁ、そうだろうな」とは思っていたが、やはり、ここではネットは使えないらしい。 運転手と別れの握手をし、20キロのバックパックを持ち上げると、いつもとは違うズシリとした重さを感じた。足を踏み出してみると、太腿が鉛のように重い。
カザの標高は3650mで、気圧が低く空気中の酸素濃度がかなり薄い。車に乗っているときとは違い、荷物を背負い実際に歩き出すと、わずかな坂道でもかなり息が上がってしまう。 気温はおそらく10度前後だが、太陽の光がなくなってから急激に冷えてきている。俺はバックパックを開き、ダウンジャケットを取り出した。暗くなるまでに、今晩泊まる安宿を探さなければならない。 インド縦断旅をしていると、バスや列車を降りた途端、観光客目当ての胡散臭い男たちがたくさん寄ってきて、「安い宿があるよ」と高額の宿を勧めてくることがよくあった。
しかし、ここにはそんな人が一人もいない。 それはとてもありがたいのだが、誰もいないとなると、なんだか妙に寂しく、あの鬱陶しさが懐かしくも感じられる。 ■ほとんど何も調べずに来てしまったが… 「ここに旅人を受け入れる宿などあるのだろうか」 時間が経つとともにより深みを増す紺碧の空と山陰に覆われた静かな街が、俺の不安を増幅させた。 インド北部の街マナリにいたとき、レー・ラダックへの旅情報はかなり入ってきたのだが、スピティに関する情報はブログなど数件しかヒットしなかった。