あと1歩届かなかった……トヨタ小林可夢偉、前途多難のル・マン24時間レース惜敗に「めちゃめちゃ悔しい」
サルト・サーキットで開催された伝統のル・マン24時間レース。92回目を迎えたこの1戦ではフェラーリAFコルセとTOYOTA GAZOO Racingによる激しい総合優勝争いが展開された。 【リザルト】2024年ル・マン24時間レース 激戦の末に敗れたのはトヨタ。チーム代表であり、7号車GR010ハイブリッドをドライブする小林可夢偉はレース後、悔しさを滲ませた。 トヨタ陣営はル・マン開幕前から波乱含みとなった。7号車の世界耐久選手権(WEC)レギュラードライバーであるマイク・コンウェイが、自転車でのアクシデントで骨折。急遽、昨年までチームで走っていたホセ・マリア・ロペスを代役として招集することとなったのだ。 「応援ありがとうございました。めちゃめちゃ悔しいです」 J Sportsのレース後のインタビューに対して小林は開口一番、そう語った。 「ル・マン入りしてから色々とありました。まずマイクが骨折してしまってレースに出られないというところから始まり、急いで誰がマイクの代わりに乗るかということになりました」 予選で7号車トヨタは、タイム抹消によりクラス最後尾スタートが決定。レース直前のウォームアップ走行でも小林、ロペスとトリオを組むWEC最高峰クラス1年目のニック・デ・フリーズがGT3車両と接触するというアクシデントもあった。 決勝でも7号車トヨタには不運が続き、レース序盤は上手く展開が噛み合わず、その後もマイナートラブルによる失速、フロントウインドウの汚れや2度のタイヤパンクチャーによる緊急ピットインを強いられることもあった。 ただレース終盤、比較的トラブルフリーだった僚機8号車トヨタが51号車フェラーリAFコルセとの接触でポジションを大きく下げる中、7号車トヨタはしぶとく優勝争いに踏みとどまった。 雨降りしきるレース最終盤は、50号車フェラーリAFコルセと7号車トヨタの一騎打ちに。50号車フェラーリが走行中にドアが開くトラブルから緊急ピットインを強いられたことで、7号車トヨタ優勢かと思われたが、ロペスは痛恨のスピン……タイムを大きく失い、最後は燃料をセーブしながら走る50号車フェラーリとの差を縮めるも14.221秒届かなかった。 フェラーリとしてはこれでル・マン2連覇。トヨタは昨年に続き、フェラーリとの一騎打ちに敗れる形となった。 「やはりニックも1年目で、正直自分自身すごくプレッシャーがある中でした。本来の予定では僕自身が予選とレーススタート、フィニッシュまでをやるという流れだったんです。自分自身、本当にやり切れたのか、もっと上手くできたんじゃないかという悔しさもあります。そういう意味では、あともう1歩で1位だったというのはさらに自分としても悔しいです」 小林はそう続ける。 「でも日本から沢山の応援をいただきましたし、GRのパートナーの皆さん、1番はモリゾウさんからの応援もありました。ドライバーをどうしようってなった時に、モリゾウさんに相談させて頂いて、ホセで行こうと迷いなくレースに集中させていただくことができました」 「あと1歩足らなかったというのが1番悔しいですが、やりきれたという部分もあります。ただ、ここで本当に勝ちたかったというのが本音です」 また小林は「ちょっと休みたいと思う部分もある」としつつも、来年のル・マンでの勝利を狙うと語った。 「本当に思い切ってやりましたし、チーム全員が全力で挑んだこのル・マン24時間だったと思います。去年の悔しさから、(今年は)ちょっとは良いところを見せることができたかなと思います。リベンジとはなりませんでしたが、僕らとしてはやりきりました」 「そうは言いつつも、もうちょっと上手くできたんじゃないかという悔しさはありますが、来年に向けてしっかりやっていきたいと思います」 「応援ありがとうございます。来年も応援お願いします」
Rainier Ehrhardt