辺野古移設後「県有地に」 普天間跡地に国連機関 佐喜真氏インタビュー
6月の県議選で、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対する玉城デニー知事の与党が大敗したことを受け、八重山日報社は23日、前宜野湾市長の佐喜真淳氏(59)に今後の辺野古移設問題を巡る展望を聞いた。佐喜真氏は辺野古移設後の埋め立て地を県有地とする交渉を政府と行い、賃料を子どもの貧困対策に充てるアイデアを示した。普天間飛行場の跡地利用を巡っては、国際機関の誘致を一案に挙げた。 玉城県政は辺野古移設に反対しているが、辺野古沿岸の地盤改良を巡る訴訟で県敗訴の最高裁判決が言い渡されるなど、法廷闘争では連敗している。佐喜真氏は司法判断を受け「辺野古移設問題は(移設完了後を展望する)新たなステージに入った」との認識を示した。 普天間飛行場の代替施設が建設される辺野古沿岸の埋め立て地は国有地となる。佐喜真氏は「ここまで県民の葛藤と分断が続いたことを考えると、この土地を県有地にする交渉を行うことも一つのアイデアだ」と指摘。 その場合「県に土地の賃料収入が発生する。例えば年間約30億円の賃料収入として、それを子どもの貧困問題を解決する基金に充ててはどうか」と述べた。 辺野古移設を県民にとって最大利益化するため「(滑走路の)軍民共用も含め、沖縄側からいろいろなアイデアや提言を出し、チャレンジすることは大切だ」と強調した。 普天間飛行場の跡地利用に関しては「沖縄の地政学的な優位性を生かし、アジアの平和にも役立つよう、国連ユニセフなどの国際機関や、新たな産業の誘致を含めて政府と協議すべきだ」と主張した。 沖縄振興には政府との協調や連携が必要として「好むと好まざるとに関わらず、沖縄は現在、安全保障に重要な地域となっている。琉球王国以来、今ほど日本にとって沖縄の重要性が高まった時代はない」と述べ、沖縄から本土に向けた新たな発信や提案を求めた。 佐喜真氏は2012年から宜野湾市長を2期務め、2018年と22年の知事選に出馬したが、いずれも玉城氏に敗れた。今後の政治活動については未定としたが「少しでも県民のため、沖縄県の発展のため役に立てるよう政界復帰を目指していきたい」と再起に意欲を示した。