過労による体調不良もナンノその!? 南野陽子、当時の自分に「笑顔が足りない!」大河、ドラマ、映画…大活躍の88年
【南野陽子 私が歩いてきた道】 歌、ドラマ、映画とヒットを連発し、大手企業のCMにも多数起用されるなど、国民的スターとなった南野陽子は1988年、NHK大河ドラマ「武田信玄」に出演。その過密スケジュールがたたったのだろう。年初から腎盂(う)炎、気管支炎などに見舞われ、一時は入院を余儀なくされる。 「どんなに体調が悪くても『ザ・ベストテン』(TBS系)にランキングされた以上は歌いたい。そう思って出演していましたが、今観ると表情に疲れが出ているのが分かります。当時の自分に声をかけるとしたら『笑顔が足りない!』かな(笑)」 あえて厳しい言葉を選ぶのはプロ意識の高さゆえ。入院先から駆け付けて歌った「吐息でネット」は本人出演のカネボウのCMソングで自身最大のセールスを記録した。 「当時、話題を集めていたキョンシーと共演したこともありました(笑)。ストーリー性のある作品が多い私のレパートリーの中では珍しくキャッチーさを優先したノリのいい曲で、今もライブで歌うと盛り上がります。先日、乃木坂46さんの番組に出演したときはこの歌を一緒に歌わせていただきました」 88年のナンノは大河に続いて民放の連続ドラマ2本、単発ドラマ2本に出演。さらに映画「菩提樹リンデンバウム」で主演を務めるなど大活躍の1年だった。「ザ・ベストテン」には22回ランキングされるが、なかでも「秋からも、そばにいて」は多くの話題を提供した。 「荘厳なイントロに着想を得て、ゴージャスな衣装を5パターンほど用意しました。でもあとから完成した詞を見たら高原で出会った学生カップルの歌で『あれ?』と(笑)。歌詞に合わせてコテージのようなセットを組む歌番組もありましたが『ザ・ベストテン』はサウンドと衣装に合わせたすてきなセットを作ってくださいました」 その「秋からも、そばにいて」では今も語り草となっている〝事件〟が起きた。 「落ち葉を敷き詰めたセットだったので、スカートの裾でお掃除をしないように気をつけていたら、歌詞が飛んでしまって。これで終わった…と落ち込みました。心配して歌詞を書き込んである台本をなんとか見せようとしてくださった司会の黒柳徹子さんのお気持ちがうれしかったです」 (濱口英樹)
■南野陽子(みなみの・ようこ) 歌手、女優。1967年6月23日生まれ。兵庫県出身。85年「恥ずかしすぎて」でデビュー。主演ドラマ「スケバン刑事Ⅱ」で注目され、歌手、女優として多方面で活躍。「楽園のDoor」以降、通算9作のシングルがチャート1位を獲得した。「ザ・ベストテン」(TBS系)への出演シーンを網羅したブルーレイ3枚組BOX「南野陽子ザ・ベストテンコレクション」=写真=が26日発売。本人が語る全出演回のエピソードを掲載したインタビューブックが付属する。