まちなか活気、秋の一服 金沢城・兼六園大茶会が開幕 3連休初日、城下町にぎわい
3連休初日の12日、金沢市中心部で金沢城・兼六園大茶会(石川県茶道協会、北國新聞社など主催)が開幕した。爽やかな秋晴れの下、着物姿の愛好者が兼六園周辺の4会場を巡り、まちなかに彩りを添えた。周辺では工芸イベントなども同時開催され、文化の秋を満喫する人々で城下町はにぎわいを見せた。 【写真】能登の茶道具などを用いた遠州流金沢兼六支部の茶席=金沢21世紀美術館の松涛庵 大茶会は、県茶道協会に所属する7流派12社中が3日間にわたり、地元作家の手掛けた新作茶道具を用いてもてなす恒例の大寄せ茶会となる。 金沢城公園の玉泉庵(ぎょくせんあん)は、表千家祥和会が担当した。棚に珠洲焼の茶壺(ちゃつぼ)を飾り、釜はカボチャ型の若手の作を用いて、一足早い炉の点前(てまえ)でもてなした。寄り付きは名月を詠んだ俳句、本席は月の絵の軸を掛け、月にちなんだ銘の茶碗や蓋置(ふたおき)を使って秋の風情を演出した。 連休初日とあって観光客の姿も多く、イスラエル出身のジョナサン・エリシャさん(30)は「とてもエキサイティングな経験だった。伝統がどう進化したかが伝わり、興味深かった」と語った。 金沢21世紀美術館の松涛庵(しょうとうあん)では遠州流金沢兼六支部が立礼席を設けた。塔を模した釜など珍しい道具が注目を集めたほか、珠洲焼の茶碗や輪島塗の平棗(ひらなつめ)に、参加者は能登半島地震からの復興と作家の再建を願った。七尾市から来場した小林智恵子さん(81)は「久しぶりに和やかな時間を過ごせた」と笑顔を見せた。 兼六園時雨亭では宗徧(そうへん)流金沢支部、中村記念美術館旧中村邸では裏千家井奈社中が担当した。 大茶会は14日まで。午前9時~午後3時、茶席券は3席セット3500円。1席券1500円。伊藤園、金沢エムザが協賛した。13日の担当社中は次の通り。 ▽時雨亭 皇風煎茶禮式石川弘風会▽玉泉庵 表千家澤永会▽松涛庵 裏千家大島社中▽旧中村邸 遠州流金沢支部 ●13日も晴れ見込み 12日の県内は高気圧に覆われ、最高気温は七尾で25・1度と夏日になったほか、輪島24・5度、金沢24・3度など各地で平年を上回った。13日も引き続き晴れる見込み。