【プレイバック’94】〝Xデー〟はいつ?誰が逮捕されるのか?〝ゼネコン政治家〟7人に直撃取材!
10年前、20年前、30年前に『FRIDAY』は何を報じていたのか。当時話題になったトピックをいまふたたび振り返る【プレイバック・フライデー】。今回は30年前の’94年2月11日号掲載の「〝ゼネコン政治家〟に質問!『逮捕されないの?』」をお届けする。 【ゼネコン汚職】逮捕されたのはこの議員だった! ’93年3月に巨額の脱税により金丸信元自民党副総裁が逮捕、起訴された。その逮捕資料から、ゼネコン各社が中央政界の実力者や地方自治体トップに賄賂を贈っていたことが明らかになり発覚した「ゼネコン汚職」。同年6月以降、仙台市長や宮城・茨城両県知事とゼネコン幹部らが次々と逮捕された。そしていよいよ中央政界に捜査の手がのびるのではと永田町で噂が飛び交っていたこの当時、本誌はゼネコンと縁が深いと言われていた議員、前議員ら7人を直撃した。(議員らの肩書き、年齢は当時のもの) ◆「なにぃ~~」と睨みつける小沢氏 1人目は新生党代表幹事の小沢一郎氏(51)。小沢氏は「岩手県が計画した日向ダム工事で〝天の声〟を期待したハザマ(間組)から1000万円を受け取った」「鹿島(鹿島建設)からの500万円の献金は政治資金規正法違反の疑いがある」等の疑惑が報じられていた。 記事では国会のエレベーター内で小沢氏を直撃したときの様子を伝えている。 《「一部報道で小沢先生が逮捕されるんじゃないかと伝えられていますが、どう思われますか?」と問うと、小沢氏はこちらを見て『なにい~』と一言。『そういう事実はないですか?」と追い討ちをかけると、「バ~カな、(そういう事を書き立てるのは)お前ら(マスコミ)のカネもうけに決まってんだ」とだけ言い残してエレベーターを降り、スタスタと新生党の控え室へと足早に歩いていった。》 2人目は自民党幹事長も務めた梶山静六氏(67)。「茨城県の緒川ダムに絡み、三井建設から1000万円の賄賂を提供され、前知事に口利きした」との疑惑が。「梶山氏らから中央突破」という報道もあったことから、数日間本人の姿が確認できないなど、周辺はかなりピリピリしていた。 当時の記事にはこう書かれている。 《1月25日、議員宿舎を訪ねると、秘書が出てきて『ウチは何もない。こういった強引な取材はお断りします』と、ものすごい剣幕。当の梶山氏はというと、特に落ち込んだ様子もなく現れ車に乗り込んだ。カメラを構えると、またしても秘書が『写すんですか』とたちはだかり、猛スピードで車を発進させた。結局、梶山氏が残したのは「ノーコメント」の一言のみ。梶山事務所では『代議士が今までどこに居たかって? 我々には連絡もないし、知りませんねー。ウチは潔白ですよ』と言い張った。》 3人目は公正取引委員会が進めていた談合組織「埼玉土曜会」の刑事告発をおさえるために鹿島から1000万円のヤミ献金を受け取ったとされていた中村喜四郎前建設相(44)。だがすっかり〝雲隠れ〟しており、事務所には電話番の女性が1人だけ。「代議士とは連絡が取れないんですよ」と戸惑うばかりだ。地元・茨城県境町の事務所や議員宿舎を訪ねても空振りだった。 4人目、渡辺秀央元郵政大臣(59)も雲隠れ中。秘書によれば「地元(新潟)を回っています」とのことだったが、地元マスコミも接触した形跡はなかった。 5人目は前年7月に前仙台市長が逮捕された際に、そのつながりから「危ない」と囁かれた愛知和男防衛庁長官。本誌は愛知氏も直撃。 《──1月30日が危ないようですが? 「1月30日? うーん、私も危ないのか、ワッハッハ。とても面白いね。1月30日は何もないだろうね。だって何も悪いことをやっていないからね」》 この手の質問にはウンザリといった様子で直撃に答えたのは6人目、三塚博元政調会長(66)。地元は宮城県で前仙台市長との交流が深いと言われ、疑惑も報じられていた。 《「いろいろ書かれていることは知っているが、全くのデタラメです。秘書が地検に呼ばれたなどといわれてますが、呼ばれたりしたのは一人もいませんよ。こうして堂々とお話ししていることで、後ろめたいことがないことがおわかりでしょう」》 最後は大塚雄司元建設相(64)。日本電波塔の規制緩和に絡み、カネが渡ったという疑惑、そして永田町周辺の再開発に絡んで清水建設から300万円受け取ったとも言われていた。日本百貨店協会の賀詞交歓会で直撃すると……。 《「私はね、何もやっていないんだよ。だから、こうやって、いろいろなところで賀詞交歓会に出てこられるのじゃないか。業者はいろいろと頼みにきましたが、私はピシャッと断りました。それが政治家・大塚雄司の業者に対する姿勢ですよ」》 東京地検特捜部が、最初に挙げるのはどの政治家なのか──。 当時、永田町や地検担当記者の間では、〝Xデー〟について「1月30日」、「2月3日」、「2月14日」などさまざまな説が流れており、逮捕者についても6人とも8人とも言われていた。だが、3月11日に中村喜四郎元建設相が逮捕され、4月25日には東京地検が計32人の起訴をもって捜査の終結を宣言したのだった。 事件の背景には公共事業の発注割合は都道府県や市町村などの地方自治体が多いことや業界の体質などがあげられていた。’05年に鹿島、大林組、大成建設、清水建設のゼネコン大手4社は「談合決別」を宣言する。だが、その後もこの4社に対する課徴金が課せられた例は複数ある。 そして、現在も自民党での派閥の裏金問題が連日報じられているように「政治とカネ」もいつまでも切っても切れないままだ。
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