会見で笑顔を見せる井上（撮影・狩俣裕三）

　ボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥（31＝大橋）が12月24日、東京・有明アリーナでIBF、WBO世界同級1位サム・グッドマン（26＝オーストラリア）との防衛戦に臨むことが24日、発表された。今年3戦目で、年間3試合は17年以来7年ぶり。同日に都内で対戦カード発表会見が行われ、井上はオンラインで登場したグッドマンに対し、好戦的なファイトを注文した。またWBO世界バンタム級王者武居由樹（28＝大橋）が、セミファイナルで2度目の防衛戦に臨む（挑戦者は交渉中）ことも発表された。 　　　　◇　　　◇　　　◇ 　会見終了間際、井上が挑戦者に異例のメッセージを送った。オンラインで会見出席したグッドマンから9月のTJ・ドヘニー（アイルランド）戦で見せた井上の動きが「シャープではなかった」「さえない」と言われると気持ちが燃えた。 　井上　ドヘニー戦がさえないと言葉をもらいましたが、それはドヘニー選手が塩試合したから。グッドマン選手にはぜひ熱い試合をしてほしい。その意気込みで日本に来てもらいたい。 　グッドマンから「東京で会いましょう」と自信満々に返答されると、井上は満足そうな表情を浮かべた。 　その試合は、ボディー連打で守備重視だったドヘニーの腰が悲鳴を上げ、棄権による7回TKO勝利だった。突然の幕切れに不完全燃焼だった井上は「塩試合は嫌じゃないけど、やるなら熱い試合をしたい。あの試合をさえないと感想を持ったのならグッドマン選手が同じ戦い方を選択したら…その試合もさえない。自分は倒しにいくし、ヤマ場もつくるようにする。応戦しないのなら一方的なさえない試合になる」。好戦的ファイトを強く期待した。 　19勝（8KO）無敗で2団体で世界ランク1位のグッドマンとはスピード勝負を宣言した。前回はパワー重視のドヘニーに対し7・4キロ増量したが、今回は6キロ程度に抑える方針。「スタイルを考慮した上でスピードで戦う選択。一番適している。体重が1・4キロ少なければ相当なスピードが出る」と手応えを示した。 　国内最多の世界戦23勝を挙げる井上がグッドマンに勝てば、元3団体統一ミドル級王者ゴロフキン（カザフスタン）を超える現役最多24勝目に届く。来春、米ラスベガス再進出計画もある井上は「この試合が終わってから動き出す。勝たなければ次のステージはみえてこない」と気持ちを引き締めていた。【藤中栄二】