ひろゆき&リュウジのバズ論破トーク④ 塩、オリーブオイル、ポン酢......値段の違いで味は変わるのか?【この件について】
リュウ 例えば、オリーブオイルの高級品は味わいがまったく違います。ただ、いいオリーブオイルであればあるほど個性が強くなるので、みんながおいしいと感じるかどうかは別です。 ひろ オリーブオイルは、高級品だとエグみとか苦みとかの癖が強くなりますよね。 リュウ どこかワインと通ずるような感じがありますね。オリーブオイルにハマったときには、1本1万円するような高級品も試しましたし、良質なオリーブオイルを一斗缶で買っていたこともあります。でも、知り合いに振る舞ってもそのオリーブオイルのこだわりになかなか気づいてもらえない。僕調べですが、結局多くの人は1本1000円くらいのオリーブオイルがウマいと感じると思います。 ひろ めちゃめちゃ高級なものは買わなくてもいいんですね。 リュウ あと、値段によって一番違うといえばポン酢ですね。ポン酢は本当にピンキリで、高いポン酢に一度手を出したら、スーパーで安く売っているポン酢には戻れなくなります(笑)。スーパーで売っているポン酢も十分おいしいんですけど、高いポン酢と比べると全然違うので......。 ひろ そんなに違うんですか? リュウ 違いすぎるので、僕はレシピ作りだけでなく、プライベートでも高いポン酢は封印しているんですよ。 ひろ 具体的には何が違うんですか? リュウ 高いポン酢は柑橘系の香りが強いんです。一方で、安いポン酢は柑橘の香りが弱い。よくお土産で高いポン酢をもらいますけど、使うのは躊躇します。一度慣れちゃうと「あのポン酢でもう一度食べたいな」となるので。 ひろ 禁断症状ですね(笑)。ちなみにどれくらいの値段なんですか? リュウ 1本1000円ちょいです。高くても2000円出せばぶっ飛びますよ(笑)。 ひろ へえ、今度試してみよう。 リュウ 元に戻れなくなっても責任取りませんからね(笑)。 ひろ 安いポン酢も柑橘系の風味を強くしたらおいしくなるわけですよね。製造過程でそういう風味は加えられないんですか? リュウ 工場で生産する過程で加熱処理をしているみたいなんですよ。そうすると、生の果汁を使っていても風味が飛んでしまう。でも、加熱処理をするには理由があって、これをしないと店頭に置くときに膨張するリスクがあるみたいなんです。また加熱処理には賞味期限を延ばす目的もあります。 ひろ なるほど。安く販売するには仕方がないのか......。 リュウ この工場で生産するというプロセスは料理研究家泣かせなんですよ。僕はドレッシングやソースの商品開発もやっていますけど、自分のキッチンで完璧なレシピができたと思っても、工場で生産すると味が全然違うんです。 ひろ レシピどおりにはならないんだ。 リュウ むしろ、めちゃめちゃマズくなることもあるんですよ。やっぱり、加熱処理の工程で変わっちゃうらしくて。 ひろ じゃあ、それを踏まえたレシピを作らないといけないわけですね。 リュウ そうなんです。ボトリング後においしくなるところまで考えなきゃいけない。そうなると、例えば、加熱処理でニンニクの風味が飛んでしまうから、倍の量を入れようということになる。その調整がものすごく大変なんです。 ひろ 工場で手作りはできないんですか? リュウ できますよ。ただ、手作りで製造するとウマいんだけど、数が作れない。すると、商品単価が高くなって売れなくなる。単価を下げようとすると機械化された工場に頼むことになり手間がかけられない。商品開発はめちゃくちゃ大変なんです。 ひろ そう考えると、スーパーで安く売っているポン酢もすごいんですね。 リュウ そのとおりです。さっきは厳しいことを言った安いポン酢ですが、あの値段であのクオリティを実現している食品メーカーには脱帽です。自分で商品開発をしたことでよけいにそう感じますね。 *** ■西村博之(Hiroyuki NISHIMURA) 元『2ちゃんねる』管理人。近著に『生か、死か、お金か』(共著、集英社インターナショナル)など ■リュウジ(RYUJI) 1986年生まれ、千葉県出身。料理研究家。近著に『虚無レシピ』(サンクチュアリ出版)など。公式X【@ore825】、公式Instagram【@ryuji_foodlabo】、公式YouTubeチャンネル『料理研究家リュウジのバズレシピ』 構成/加藤純平(ミドルマン) 撮影/村上庄吾