地図を手に掲示板を探し、候補者のポスターを貼る青島さん（左）と松浦さん＝15日、県内（写真の一部を加工しています）

　15日午前、静岡県選挙管理委員会に衆院選（27日投開票）の立候補の届け出を済ませた各陣営は、掲示板へのポスター貼りを急いでいた。ある陣営のボランティアを務めた常葉大3年の松浦響さん（22）と静岡英和学院大3年の青島歓太朗さん（21）も地図とポスターを手に7カ所の掲示板に貼った。 　「各陣営が公示後に一枚一枚貼っているとは知らなかった」と青島さん。県内の1選挙区当たりの掲示板数は千カ所前後。この陣営では百数十人の支援者が手分けして貼っていた。松浦さんは「1人の候補者のために大勢の支援者が動いている。支援者のモチベーションや気持ちに興味が湧いた」と選挙運動を支える人々に関心を寄せた。2人は「一枚一枚貼るより全ポスターを印刷した看板を設置したらいいんじゃないかな」「でもポスターを早く貼るのも組織力を競う意味があるのかも」などと話しつつ掲示板を巡った。 　選挙事務所でも多くの支援者が手作業に励んでいた。ビラを三つ折りして束ねる作業を手伝った静岡大2年の三浦舞彩さん（20）は「一つ一つの手作業は大変だが、候補者を応援する気持ちが込められているように見えた」と語った。 　学生からしばしば聞かれたのが「政治家は遠い存在だった」とのイメージだ。「政治は国会など自分たちの知らない所で決められていくもの」（松浦さん）と距離を感じる一方、「日頃見えにくい政治の現場を見てみたくてボランティアに参加した」（三浦さん）といった声も複数あった。選挙権を持つ年齢になり、もっと政治のことを知りたいと興味を抱きながらも「友達とは政治の話はしにくい」と明かす学生もいた。 　選挙は候補者の生の訴えを聞けて、遠かった存在が近くなる機会でもある。学生からは、選挙カーで選挙区内を巡ったり印刷物を多用したりする選挙活動を見た当初は「アナログで非効率的」との感想も聞かれた。だが体験を終え、候補者と有権者の距離感が縮まっていく光景を見て「アナログな手法も大切」「デジタルと両方の活用が必要」と複数の学生が口にした。 　若者の関心を高める方法として、青島さんは「公民の授業は中学生から始まる。候補者などの公平性に配慮して、地域で行われている選挙を生徒が直接見て学べる機会があればいいと思う」と現場を生かした主権者教育の必要性を語った。 ＜参加者の感想・意見＞ ●日頃から政治家が出前講座などで市民と交流すれば政治が身近になると思う（常葉大3年・松浦響さん） ●候補者が多くの人に支持されるには何が必要なのか知りたくなった（静岡英和学院大3年・青島歓太朗さん） ●若者向けの政策を訴える候補もいて、投票前の確認が大事だと思った（静岡大2年・三浦舞彩さん） ●SNSでの情報発信も、対面での交流も大事。中心は『人』だと感じた（同2年・岡野晃生さん） ●街頭演説に若者の姿が少ない。やはり若者にはSNSでの発信が必要（同2年・山本エマさん） ●若者が投票するよう候補者の情報を知りやすい環境をつくる必要がある（常葉大3年・須藤歩さん）