〈情報格差を乗り越える知恵〉一般人が自動車ディーラーを頼らずに「よりよい中古車」を買う方法を考えた【経済評論家が解説】
情報格差でソンをしない考え方
中古車の品質を一般の人が見て判断するのは大変難しいといわれています。だから、中古車ディーラーという商売が繁盛するわけです。中古車ディーラーはプロですから、ある程度正確に中古車の品質を見極めることができるでしょうし、客に対してウソはつかないという信頼感もあるでしょう。高級デパート並みか否かは議論があるとしても。 筆者が大学生のときに学んだ「不確実性の経済学」の話を紹介しましょう。 中古車ディーラーが存在せず、中古車の買い手は品質の判断が一切できない一方で、売り手は売り物の価値をしっかり把握しているという場合、なにが起きるでしょうか? 買い手が「100万円で中古車を買いたい」と宣伝すると、多くの売り手が集まりますが、集まった車の価値は「ゼロ円」から「100万円」までさまざまです。買い手には価値が判断できないので、どれか1台を選ぶとすると、よほど運がいい場合を除いて大損をしてしまいます。値段を下げたところで、価値のある車の売主から順番に帰ってしまうので、同じことですね。 これを学んだときには納得したものですが、なにかうまい方法はないでしょうか。 筆者なら、「100万円で買いたい」と宣伝をして集まってきた売り手に「99万9999円に変更したい」と申し入れます。ほとんどの買い手は残るでしょうが、一部の買い手は帰ろうとするでしょう。その買い手に声をかけるのです。 帰ろうとする売り手は、持ち込んだ中古車の価値が100万円ちょうどだから、それより安い値段では売りたくないと考えて帰り支度を始めたのでしょう。そうであれば、その売り手から100万円で買えばよい、というわけですね。 今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。 筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「THE GOLD ONLINE」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。 塚崎 公義 経済評論家
塚崎 公義