子どもの成長願い込め、手染め 寒河江・「出世鯉のぼり」作り
旧暦の端午の節句(6月10日)に合わせ、寒河江市柴橋の「渋谷鯉のぼり」で伝統手染めの「出世鯉のぼり」作りが行われている。子どもたちが健やかに成長するようにとの思いを込めて、4代目の渋谷良春さん(73)が作業している。 1903(明治36)年から染物店を営んでいた渋谷家は、昭和初期に県内の学校から依頼を受けて、こいのぼり作りを始めた。代々受け継いでいる伝統技法で木綿の裁断、染め、縫い合わせなどを全て手作業で行う。染めは顔料で下地部分を薄く塗り目玉やうろこ部分を重ね染めする。色のぼかしで立体感を出す。 近年は額装品が人気で岡山県からの依頼もあった。掲揚用の今季注文は10匹分で、旧暦に合わせる地域では一般的に6月5日に揚げることが多く、制作は同月初旬まで行う。48年間にわたって作り続ける渋谷さんは「大切な伝統。家族の絆が強まってほしい」と願っている。