多様性尊重の時代、職場ルールにも変革の波 髪形やアクセサリー、服装などの自由度広がる モチベーション向上や若年求職者確保にも期待
多様性への配慮などを目的に、髪形やネイルといった身だしなみに関する社内ルールを緩和する動きが、鹿児島県内でも県外資本を中心に広がりつつある。従業員からは「自分らしい格好で仕事ができる」と好評で、人口減少社会の中、企業側も自由な社風を好む若年求職者の確保や離職防止を視野に柔軟な対応をアピールする。 【写真】JR九州ホテルズでは髪型も自由になった=19日、鹿児島市
イオン九州(福岡)は3月、自由な服装や髪の色などを認める緩和を行った。国籍や性別、年齢を問わず幅広い人材が活躍できる環境づくりの一環で、「従業員個人の価値観を尊重するため」と同社。安全や衛生面を守れる範囲内であれば、アクセサリーの着用やネイルも可能とした。 鹿児島県内でもイオンとマックスバリュの全従業員約3000人に適用。ルール緩和がアルバイト継続の決め手になった例もあるといい、エリア推進部鹿児島地区担当部長の伊藤順さん(66)は「TPO(時、場所、状況)を意識した上で、好みや体質などそれぞれの個性に合わせ、働きやすい格好で働いてもらうのが一番」と話す。 就職情報サイトを運営するマイナビ(東京)の調査では、来春卒業予定の学生のうち、半数近くが「制服」や「スーツ」ではなく、より軽快な「オフィスカジュアル」で働くのが理想と回答する。 鹿児島営業2課の永島佳奈課長(32)は「就活生にとって社風の自由度は注目する要素の一つになっている。働き方とともに、制服を撤廃するといった企業も増えている」と指摘する。
JR九州ホテルズ(福岡)は8月、採用面やジェンダーレスなどを考慮し男女別ルールを撤廃した。これまで足元は女性がパンプスで男性が革靴、髪形がロングヘアの場合、小さくまとめる「お団子」などと決まっていた。 改定以降は、スニーカーやフラットシューズが認められ髪形は自由に。ネイルもデザインが緩和され、アクセサリーの着用も可能になった。 JR九州ホテル鹿児島(鹿児島市)の村岡史織さん(26)はルール緩和を機に、祖母と母から引き継いだダイヤのネックレスを着用する。「なかなか着ける機会がなかったのでうれしい。お客さまに不快感を与えない範囲で楽しみたい」と笑う。 同ホテルによると、ルール緩和は多様性考慮や採用面のほか、従業員のモチベーション向上で一層質の高いおもてなしを提供する狙いもある。 山口りさマネージャー(38)は「ラメの入ったネイルに変え、勤務中の楽しみが増えた。髪色やネイルが目立つ分、明るく丁寧な接客を心がけたい」と話した。
南日本新聞 | 鹿児島