ドラフト指名を待つセガサミー・荘司宏太

◇記者コラム「Free Talking」 　プロ野球選手にとってドラフト指名された日は思い出に残る人生の１ページ。取材記者にも印象深い。２０２１年１０月１１日のドラフト会議で、社会人のセガサミーからオリックスに６位指名された横山楓投手の指名会見はおそらく史上最も遅い時間の会見。取材中に、日付が変わったのをよく覚えている。 ◆2023年ドラフト12球団の1位指名 　この日は、紙面づくりの不測の事態に備えるための内勤で、テレビ中継を見ていた。２００５年の野球部発足から取材しているセガサミーは、神宮球場で都市対抗東京第３代表決定戦のＪＲ東日本とのナイター。横山は試合中に指名された。ドラフト会議が終わり、横山の話を聞こうと午後８時半過ぎに神宮球場に向かった。試合は終盤だったが、簡単には終わらなかった。 　３―３で、タイブレークなしの延長に入り、スコアボードに延々と「０」が続いた。延長１８回、セガサミーが４―３でようやく勝ったとき、時計の針は、午後１１時２０分を回っていた。球場の向かいにある日本青年館に用意された会見場に横山が姿を見せたのは、日付が変わる直前。就任から２年連続の都市対抗出場決定とドラフト指名のダブルのお祝い。目立つことが大好きな元広島カープの西田真二監督には申し訳なかったが、翌朝の新聞には、短い記事しか載らなかった。 　あれから３年、今年のセガサミーでは、２年目の１５０キロ左腕の荘司宏太投手が数球団から指名候補にリストアップされている。駿台甲府高から国士舘大を経て入社。「今年の春からプロを意識するようになった」。チェンジアップは一級品で、即戦力の救援投手としてスカウトも評価する。７月の都市対抗は東京ガスの補強選手として活躍した。 　セガサミーは今年、都市対抗も日本選手権も出場を逃し、寂しいシーズンとなった。就任５年目の西田監督は「２つとも出られなかったが、最後は明るい話題で終わりたい」と荘司のドラフト指名に期待。ドラフト会議は２４日に行われる。（アマ野球担当・小原栄二）