身近な歴史に触れる85点 6月23日まで館山博物館で新収蔵資料展(千葉県)
館山市立博物館で、昨年度新たに収蔵した資料を展示する「新収蔵資料展『あたらしい資料のご紹介』」が始まった。市内外から寄贈、寄託などのあった資料85点が展示され、安房地域のさまざまな時代の暮らしや文化、まちの歴史などに触れることができる。6月23日まで。 同館では毎年、市内外の人や団体などから資料の寄贈や寄託を受けている他、関係資料を積極的に収集している。昨年度は約1700点を収蔵した。 地域の文化などにスポットを当てた「暮らしと文化」のコーナーでは、江戸時代に使われていた弁当箱や昭和の郵便切手、日付印のスクラップ、八幡祭礼の写真などを多岐にわたって展示。 六軒町の旧家に伝わる明治40(1907)年の写真「北條町八幡祭礼」は、現在の祭礼とは異なる形で行われていたことが分かる資料。現在の館山銀座通りの秋山陶苑付近から北西に向かって撮影されたと推定されるもので、縦34・5センチ、横42・5センチの台紙に収められている。 写真をよく見ると、山車の様子は現在と変わらないが、中央には甲冑(かっちゅう)を着た人や長い白ひげを蓄えた翁(おきな)のような姿がある。写真の裏側には「六軒町山車・七福人」と書かれてあるといい、中央に写る翁らは七福神の仮装をしていたという。現在はこうした仮装は行われておらず、時代によって祭礼が変化してきたことがうかがえる。 この他、館山市内で醸造業から呉服屋と家具店へと変遷を経た「糀屋」の「味噌ラベル」、同市洲崎出身で俳優や吹き替え声優として活躍した、瑳川哲朗氏(1937~2021年)のテレビ台本など多種多様な資料が並ぶ。 同展担当者は「身近な地域の歴史に触れる機会として、ぜひ観覧いただけたら」と来館を呼び掛けている。 月曜日休館(祝日の場合は火曜日)。午前9時から午後4時45分まで。観覧料は、館山城で南総里見八犬伝浮世展を開催中のため、通常料金と異なり、一般500円(館山市民300円)、小中高生250円(同150円)。館山市民の65歳以上は無料。 問い合わせは、同館(0470―23―5212)へ。