立民は戦略練り直し急務 首相指名で足並みそろわず…国民とは政策に隔たり
衆院選で議席を大幅に増やした立憲民主党が特別国会召集を前に、政権奪取に向けた戦略の練り直しを迫られている。首相指名選挙で他の野党に代表「野田佳彦」の記入を働きかけたが、賛同を得られる見通しは共産党のみで広がらない。自公連立政権の継続を許す流れにある。立民が「天王山」と見据える来夏の参院選で与党を追い込むには、特に国民民主党と基本政策の協議を進める必要がある。党内では早くも「多難」を予想する声が上がる。 「非常に和気あいあいと、有意義な対話の時間を持った」。1日、国民の榛葉賀津也幹事長と国会内での会談を終えた立民の小川淳也幹事長は親密さをアピールした。外向けの顔とは裏腹に、合意内容は「満額回答」に程遠かった。 「政治とカネ」問題を巡る政治資金規正法の再改正といった政治改革や国会改革を進めることは確認した。立民が最も欲していた、首相指名選挙の決選投票で野田氏への票集約は「あえて互いに言及せず」(小川幹事長)終わった。 国民は既に1回目も決選投票も代表の「玉木雄一郎」と書く方針を決定。両党の党首会談も、同選挙をテーマにするなら受けられないと立民側の申し入れをいったん断ったほどだ。この日、週明けにも党首会談を開くと合意したが、小川氏は「先方とやりとりをし、話題を絞り込みたい」と配慮した。 「基本政策の一致なくして、(選挙区調整は)やりませんと何年も言っている。いまだに実現しない」。玉木氏は10月31日、立民への不満をこうぶちまけた。立民が参院選へ向けて国民と協力態勢を築くためには、政治改革以外にもエネルギー、外交・安全保障、経済、憲法という四つの基本政策の協議が必要となる。 原発ひとつ取っても「ゼロ社会の実現」を綱領に掲げる立民と、リプレース(建て替え)や新増設を掲げる国民では隔たりは大きい。憲法観も異なる。立民中堅は「国民の『原発新増設』はとても折り合えない」などと既に後ろ向きな声が聞かれる。 立民重鎮は「少数与党」を前に、伝家の宝刀「内閣不信任決議案」を有効に使うと自信をのぞかせる。今後も「政治とカネ」で徹底的に与党を攻め国会審議の行方次第で、不信任案の野党による共同提出を視野に入れるというわけだ。国民と基本政策を議論することで「自民が一番恐れるのが不信任案。いざというときに一緒に乗れる関係性を野党間で保っておきたい」。 (坂本公司、岩谷瞬)
西日本新聞