再生可能エネルギーに暗雲 固定価格買取制度のどこが問題なのか 国際環境経済研究所所長・澤昭裕
固定価格買取制度の負担はあなた自身が背負っている
再生可能エネルギー事業者にとって好条件ということは、すなわち発電コストが高くなる=最も効率が悪い電気が消費者に供給されるわけで、消費者の負担が極めて大きくなるということだ。固定価格買取制度によって電気の消費者が被る負担(課徴金)は、累積的に増加していくのであって、一部の推進派の人たちが行っていた「買取価格は下がっていくので、国民負担は次第に減る」かのような説明は良くてミスリーディング、悪いと完全な誤りだ。この制度がもたらす負担の構造を、その負担者である電気の消費者本人がよく理解していないのが現状である。消費者団体がこの制度を未だに推進していることは、この制度に対する無理解の現れであり、本家のドイツでは消費者団体が廃止論の急先鋒であることも知らないのではないだろうか。 単位当たりの買取価格は下がっていくことは事実だが、各再生可能エネルギー発電事業者は、設備認定を受けた年次に応じて、自らに認められた買い取り価格に関しては20年間下がることはない。みんな電気料金の請求書を見てみればよい。この課徴金は消費税の外税のように別建てで請求されている。この負担分は、大手電力会社に行くのではなく再生可能エネルギー発電事業者の収入になっているのだ。この点が理解されれば、この制度に対する幻想もなくなるだろう。 ーーーーーー 澤昭裕(さわ・あきひろ) 政策分析専門家。主著に『精神論ぬきの電力入門』、『エコ亡国論』など。原子力政策などのエネルギー問題や地球温暖化問題に詳しい。