「すべての人に創作の喜びを」…“電子コミックのYouTube”目指す韓国のスタートアップ
【11月08日 KOREA WAVE】各産業、サービス、そして日常生活のあらゆるところにAI技術が浸透しつつある。特にChatGPTのような生成型AIの登場によって、単純で反復的な作業が大幅に削減され、時には思いもよらないアイデアを提供することもある。 生成型AIの登場で新たなビジネスの可能性を見出した韓国のスタートアップ。それは、サムスン電子の社内ベンチャープロジェクト「C-Lab(Inside)」からスタートし、2019年に分社・創業された「トゥンスクエア(Toonsquare)」だ。同社はAI技術を活用して誰でも簡単に漫画やイラストを制作できるプラットフォームを提供する。 トゥンスクエアの理念は「1%のクリエイターが享受する喜びを99%のすべての人が享受できるようにすること」。イ・ホヨン代表をはじめとする共同創業者3人は、誰もが創作の楽しさを味わえるよう、トゥンスクエアを成長させている。 イ・ホヨン氏によると、トゥンスクエアが注目した分野は韓国発の縦読み電子コミック「ウェブトゥーン」市場だ。週60時間という長時間労働が続くこの労働集約的な業界において、AI技術で業務の効率化を図るのが目的だった。▽ストーリーの作成▽プロット構成▽下書き▽線画▽カラーリング▽修正▽文字入れ▽最終修正――というプロセスをより簡単かつ迅速に進める方法を見いだした。 トゥンスクエアは、ウェブトゥーン専用の生成型AI技術を用いて、クリエイターに優しいソリューションで作業システムを構築した。「ストーリーAI」「画像AI」「その他のAI」が、複雑なウェブトゥーンの作業工程を支援する。現在までに、ウェブトゥーンソリューション分野で8件の技術特許と10件のデザイン特許を出願している。 ◇作業効率化とクリエイター育成 トゥンスクエアの事業は大きく分けて「生成AI技術を活用したウェブトゥーン業界の作業効率化」と「生成AI技術を活用した新たなAIクリエイターの育成」の二つだ。 同社の収益源として急成長しているのがAIクリエイター向けの「トゥーニング」サービスだ。トゥーニングには、主に以下のような機能がある。 ▽リアルなキャラクターと会話ができる「トゥーニングGPT」 ▽誰でも簡単に使える画像生成ツール「トゥーニングマジック」 ▽多様なキャラクターやイラスト、背景、エフェクトを用いて新たなキャラクターを作れる「トゥーニングエディター」 ▽自分だけのコンテンツを共有し、他のユーザーとリアルタイムで交流する「トゥーニングボード」 トゥーニングは教育的な効果と実用性が評価され、学校において口コミで広がり、活用が進んでいる。不適切な使い方を最小化するモニタリング機能もあり、学生が生成型AIに不適切な質問をしたり、問題のある画像を生成したりするリスクを防止している。 ◇歴史上の人物と対話 トゥーニングは現在、20万人以上の学生と教師に利用されており、歴史上の人物との対話を通じた自己主導学習が可能だ。また、獣医やモデル、デザイナーといった職業の人物との対話を通じた進路体験もできる。さらに、簡単に画像生成が可能なため、自分だけのウェブトゥーン型コンテンツを作成することもできる。テキストからキャラクターや背景画像を生成したり、既存の写真を利用して似たキャラクターを作成したりすることも可能だ。また、ペイントツールで描いた簡単な絵に基づいて、その絵に適した画像も生成できる。 こうした機能を通じて、教師は学生に学習内容に関連する課題を出し、学生はウェブトゥーンを作成するように創作の楽しさを味わいながら学習内容を自然に学ぶことができる。 イ・ホヨン氏は「トゥーニングは小、中、高校や大学からの反応が良く、損益分岐点を突破するなど良い兆しが出ている。資金調達も進んでおり、これをもとに来年初めにはプロ向け製品を海外にリリースする計画もある。AIクリエイション市場が拡大し、政府もAI創作教育への関心を強めているため、トゥーニングが韓国の教育市場に定着できるだろう」と予想した。 ストーリーが世界に影響を与えると考えている。質の高い良い物語を見つけ、日本や米国などのグローバル市場に進出する計画を抱く。このために海外法人の設立や現地スタッフの採用も予定しているという。 「来年の売り上げ目標は50億ウォン(約5億5000万円)。IPコンテンツ事業を通じてウェブトゥーン界のYouTubeになりたい」 こんな自信を見せた。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
KOREA WAVE