セスクやウィルシャーに続く才能だったが…… 16歳でアーセナルデビューした天才MFの今
現在はオランダ2部でプレイ
アーセナルは以前から良質な若手選手を輩出することに定評があり、現在もブカヨ・サカやエミール・スミス・ロウなどアカデミー育ちの若手が活躍している。少し時代をさかのぼれば、キャプテンを務めたセスク・ファブレガスや天才とうたわれたジャック・ウィルシャーなど、若くしてプレミアの歴史に確かな足跡を残した選手たちがいた。 そんなアーセナルには、かつてセスクやウィルシャーに続くと言われた才能あふれるMFがいた。現在オランダ2部のデン・ボスでプレイする27歳のゲディオン・ゼラレムだ。 アメリカでプレイしていたゼラレムがアーセナルのスカウトの目に止まったのが2013年のこと。2014年1月のFAカップ・コヴェントリー戦でデビューしたときには、17歳の誕生日を迎える2日前。つまりまだ16歳であった。「セスク2世」と呼ばれることもあり、卓越したパスセンスにアーセナルの未来を見たファンも多かったのではないか。 しかし英『The Athletic』によれば、ゼラレム自身はそんな過剰な期待を過大評価だと感じていたようだ。 「僕はそのようなことにあまり注意を払わなかった。16歳でデビューしてファブレガスやウィルシャーと同じ道を辿りたかったけど、自分が違う選手であることはわかっていたんだ」 トップチームでの活躍も期待されたゼラレムだったが、その後のキャリアは下降線を辿る。レンジャーズやVVVフェンロへのローンを経て、2017年のU-20W杯で悲劇が訪れる。アメリカ代表として出場していたゼラレムはエクアドル戦で前十字靭帯を損傷してしまい、そこから6カ月ほどの欠場を強いられたうえに再度手術が必要になったのだ。 そして2018年には、交通事故で妹を亡くしている。「それは大きな影響を与えた」と自身も認めている。結局、ローンを繰り返していたゼラレムは2019年1月にアーセナルを去ることになった。 現在はデン・ボスにて6番をつけ、より深い位置でプレイするようになったゼラレム。18試合に先発し、同メディアによれば「またサッカーを楽しんでいるのは素晴らしいことだ」とプレイを楽しんでいる様子。ようやく落ち着ける環境を手に入れたゼラレムが、また素晴らしいプレイを見せてくれることに期待したい。
構成/ザ・ワールド編集部