0対0からのタイブレークはたった1球で決着!東邦がバスターエンドランで杜若にサヨナラ勝ち!【24年夏・愛知大会】
<第106回全国高等学校野球選手権愛知大会:東邦1X-0 杜若(延長10回タイブレーク)>26日◇準決勝◇岡崎レッドダイヤモンドスタジアム球場 【トーナメント表】愛知大会 準決勝までの結果一覧 6月末に開幕した全国最多の参加校の愛知大会も、いよいよ4校に絞られた。ノーシード校はここまでですでに6試合を戦っている。 昨年跳ね返された8強の壁を破ってベスト4入りした杜若はノーシード校。じつにこの夏7戦目だ。 杜若の初戦は春日井工科、2回戦は知立にいずれも苦しみながらの勝利。3回戦は杏和、4回戦はシードの西尾東を下し、5回戦では岡崎城西に競り勝った。準々決勝は、昨秋の県大会で3位となって東海大会に進出した豊橋中央を下して堂々のベスト4だ。 名門・東邦は、今大会もシード校として3回戦からの登場。岡崎を下し、4回戦では常滑に大勝。5回戦では難敵・愛知黎明を下し、準々決勝でも大成に7対0とコールド勝ちして、ここまで確実に勝ち残ってきたという印象だ。 東邦は背番号19をつけた久田 泰心投手(2年)、杜若はエースナンバーを背負った西脇 光世投手(2年)の先発で始まった試合。久田投手はキレのいい球で三振を奪っていく。一方、西脇投手は鋭いタテの変化を武器として芯で捉えさせない投球術もある。6回二死までを投げて、久田投手は11三振を奪っていたが、四球を与えた段階で東邦は速球派の杉浦成海投手(3年)を送り出す。 杜若も7回からは長塚 陽太投手(2年)を起用。長塚投手は速いテンポでどんどんと投げ込んでくるが、制球もよく、7~9回を3人ずつで抑えていった。 こうして、どちらもほとんどチャンスらしいチャンスもないままで、0対0で9回まで来てしまった。久田投手について山田 祐輔監督も「今まで見たこともないくらいにいい投球で、ビックリしました」というくらいの素晴らしさだった。 無死一、二塁で始まる10回からのタイブレーク。先攻の杜若は6番からの打順だ。打っていき、内野ゴロで一死一三塁となる。その後四球で満塁となり、続く長塚投手の打席は、スクイズを選択せず、強攻策。併殺となってしまった。 その裏、東邦は5番からだった。これまで東邦打線は、7回から登板した長塚投手に対して3イニング3人ずつで抑えられていた。つまり、長塚投手はこの試合、初めてのセットポジションからの投球ということになった。 だからというわけではないだろうが、3度二塁へ牽制球を投げる。少し意識しすぎていると感じた後の初球、打者の小西 正人選手(3年)は、バスター。鋭い打球は二塁手の横を抜いていった。二塁走者がホームイン。東邦はわずか1球で試合に決着をつけた。 小西選手は、「最初はバントだったけれども、相手のチャージが厳しかったので自分の判断で切り替えてバスターで打って行った」というサヨナラタイムリーだった。山田監督も「小西は、そういう感性のある選手なので、ある程度は任せていました。小西もよく打ってくれましたが、内野も難しい打球をよく守ってくれた」と、投手を含めて守りの勝利ということを強調していた。 杜若は、5度目のベスト4だったが、またしても決勝に進むことは叶わなかった。プロ野球の近鉄などでの実績もある田中祐貴監督も、さすがに肩を落としていた。それでも、「3年前に、ボクがここへきて就任した時には、練習試合でもどことやっても勝てませんでした。そんなチームで、厳しいことも言いました。だげと、3年間ついてきてくれて、一緒にやってきて、選手たちがよくここまで成長したてくれたと思うと…」と言いながら、声を詰まらせた。それだけ、苦労してきただけに、万感こみ上げるモノもあったのであろう。 バッテリーをはじめ、中軸も2年生が多いチームでもある。「必ずこの壁を乗り越えて見せます」と、田中監督も思いを新たにしていた。