ミシュランが認めた「ピーマンの肉詰め」?庶民のミシュラン「ビブグルマン」ジャーナリスト推しの6店
「ビブグルマン」フレンチの常連店は、約10品「おまかせコース」が6600円!
このビブグルマンの中から、いくつかのレストランをピックアップしたい。 フレンチの「ラス」は表参道にあるビブグルマンの常連店。兼子大輔氏が腕をふるい、フォワグラのクリスピーサンドというシグネチャーがあまりにも有名だ。10品程度の「おまかせコース」は6600円、シャンパーニュとワイン4種のワインペアリングも5500円。食べて飲んでも1万円台前半で済むというから、こちらが心配になるくらいだ。 同じフレンチでも、参宮橋の「ロク」は夫妻で運営するカウンターフレンチ。オーナーシェフの笹川慎平氏によるコースは、ランチなら前菜・魚料理・肉料理・デザート・ドリンクで3850円。妻の智香氏はパティシエで、アシェットデセール(皿盛りデザート)を担当し、テイクアウトできるプティガトーも販売している。 代官山の「ファロ」は、樫村仁尊氏による焚き火イタリアン。地階だが狭さは感じられず、“ロの字カウンター”で臨場感があってデートにも最適。アラカルトが中心で、気ままにオーダーできるのがいい。名物のローストポーク“ポルケッタ”(1カット 3200円~)は是非とも食したい一品だ。 「おそばの甲賀」は西麻布交差点近くにありながらも、隠れ家的な雰囲気がいい。石臼で挽いた粉で打った蕎麦が食せる。季節もので時価の「すだちそば」も上味であるし、4品構成の「そば前コース」(4500円)も大満足。グラスから用意されている日本酒を合わせれば完璧だ。 ◆ファン歓喜! 「新ビブグルマン」は、1949年創業の老舗「豚の串焼店」 新ビブグルマンとして注目したいのが、新宿の「鳥茂」。1949年に創業した豚の串焼店で、今でこそポピュラーとなったピーマンの肉詰め発祥の店だ。三代目の酒巻祐史氏が切り盛りする。名店として知られているが、ようやく掲載されたということで、ファンは歓喜一色。コースは2200円からと非常にリーズナブルなので、大箱ながらも連日満席の賑わいだ。 一つ星を獲得している渋谷「モノリス」のオーナーシェフである石井剛氏がオープンした「モノビス」も特筆するべき一店。「山形豚厚切り低温生姜焼御膳」(4500円)や「ぶいやべーす御膳」(6000円)など、“ふれんち御膳”と銘打つ新感覚のフランス料理の定食が体験できる。 ◆個性的なお店を狙うなら「セレクテッドレストラン」 セレクテッドレストランも紹介しておこう。 「ピッツァバー on 38th」はマンダリン オリエンタル 東京にある8席だけのエクスクルーシブなガストロノミーピッツァ。総料理長を務めるダニエレ・カーソン氏が自ら生地をつくり、窯で焼く。「初志」は神楽坂にある新進気鋭の日本料理。店主である池田恒平氏が、伝統的な和食に自由な発想を取り入れている。「エマン」は清澄白河にあるモダンスパニッシュだ。シェフの小林悟氏が、日本の季節や生産者との繋がりをスペインの郷土料理で発信する。 新橋の「鮨 神楽」はジャズが流れる洒落た店内で、店主の望月将氏による旬の食材を用いた鮨を味わえる。絶大な信頼を寄せる仲買いから仕入れる鮪は自慢のネタだ。赤坂のフランス料理「ライラ」は成清毅氏によるモダンフレンチで昔から定評がある。モダンな皿とクラシックな料理のバランスがよく、プレゼンテーションも秀抜だ。 ミシュランガイドの定義によれば、三つ星は「そのために旅行する価値のある卓越した料理」、二つ星は「遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理」、一つ星は「近くに訪れたら行く価値のある優れた料理」。星つきレストランのように、そこまで肩肘を張らずに、ただ「価格以上の満足感が得られる料理」が食べられるということで、気軽にビブグルマンのレストランへ訪れていただきたい。 取材・文・写真:東龍 ’76年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で’02年と’07年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。
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