2022年度のバス会社の業績 コロナ禍前に近づく バス会社の7割弱が増収も、約3割が赤字計上
【売上高別】「1億円未満」が4割超を占める コロナ禍で121社が売上高1億円を割り込む
バス会社1,085社の2022年度の売上高別は、「1億円未満」が484社(構成比44.6%)で、半数近くを占めた。 2022年度の売上高1億円未満の企業のうち、2019年度に売上高1億円以上を計上していた事業者は121社(同25.0%)で、「1億円未満」の4分の1を占めた。中小のバス事業者は、大手と比べ需要回復期にも業容拡大が難しいことから、コロナ禍前の売上回復には時間を要しそうだ。
【増減収別】需要増から「増収」が6割超、減収は1割未満にとどまる
2021年度は、増収企業が47.2%と約半数を占めた。一方で、減収企業も31.3%と二極化が進んだ。需要が落ち込んだ2020年度からの回復は企業によりばらつきが広がった。 2022年度は、増収企業が66.9%と大幅に増えた。行動制限の解除で観光需要が伸びたほか、修学旅行などの学校行事がコロナ以前の水準まで回復したことも後押しして、減収は9.6%と1割未満にとどまった。
【利益別】2022年度は6割超が黒字、今後は赤字拡大も懸念
利益別では、2020年度にバス会社の74.1%が赤字を計上した。2020年4月以降、度重なる緊急事態宣言の発令で外出需要は消失した。特に、観光利用が消失し、従業員解雇やバスの売却を余儀なくされた中小事業者も一部ではみられた。 2021年度は、近距離の観光利用が徐々に再開し、業況は緩やかに回復したことから赤字企業の割合は縮小した。 2022年度は、赤字企業の割合は33.3%まで減少した。ただ、2023年度は人材確保に伴う人件費の増加や燃料高騰の影響などで、赤字幅は再び拡大する可能性も強まっている。 ◇ ◇ ◇ 2022年度の全国のバス会社は、事業者の66.9%が増収、66.6%が黒字を計上し、コロナ禍からの本格的な回復に転じた。訪日外客数は2023年10月に2019年同月比を0.8%上回る251万6,500人まで増加し、コロナ禍以降で初めて2019年の同月を上回った。経済活動の再開で、訪日観光客や国内旅行などの需要も高まり、足もとのバス利用の機運は高まっている。 コロナ禍当初は、急速な需要消失から、中小など一部のバス会社では人員削減も散見された。一方、需要の急回復に伴い、2022年以降は運転手不足が中小、大手問わず深刻化。2023年10月の自動車運転従事者の新規求人倍率は3.82倍と高い水準を示す。定期路線バスでは若手の人材確保に加え、燃料価格の高止まり、不採算路線の見直しといった問題も山積する。 需要回復の動きが加速する一方で、コスト負担増は避けられず、再び赤字に転落する事業者が増える懸念も高まっている。