理容師向けは15万円…伝統工芸の技光る女性用の日本かみそり 越前打刃物工房と岡村重昭さんが共同開発
越前打刃物の技を理容文化の活性化に生かそうと、京都の伝統工芸プロデューサーと福井県越前市の刃物工房などがこのほど、女性用の日本かみそり「京越(きょうえつ)」を共同開発した。国内で主流の西洋かみそりとは違う、切れ味鋭い片刃が特徴という。 伝統工芸の商品開発を手がける岡村重昭さん(京都市)が監修。明治以降、刃の取り換えが容易な西洋かみそりが主流となる中、日本独自の技法を絶やさないようにと、越前打刃物産地に協力を依頼した。女性向けのシェービングは近年、肌の健康や美化につながるとして注目が集まりつつある。 刃は、鍛冶工房いわい(越前市池ノ上町)の職人岩井孝之さんが約2年間の試行錯誤を経て制作。「デリケートな女性の顔に触れる刃物のため神経を使った」と話す。京都市内の蒔絵(まきえ)師も協力し、きらびやかな貝を文様にする「らでん」の技法などを用いた高級感のある柄を取り付けた。 越前市の越前千代鶴の館で記念発表会が開かれ、完成品を使ったシェービングの実演もあった。体験した女性は「肌への負担が少なかった。化粧をするのが楽しみ」と話していた。 商品はプロの理容師向けで15万円程度。今後、京都市内の和装商社が理容業界やインバウンド(訪日客)向けに販路を開拓していく。