沖縄の県立中部病院「現地建て替え」県が構想公表 パブコメでは懸念多数 院長は「移転」主張 県医師会も協議求める
沖縄県病院事業局は6日、県立中部病院(うるま市)について現地で建て替える将来構想を策定し、県のホームページで公表した。耐震基準を満たしていない南病棟の建て替えを優先する。一方、玉城和光院長は「医療機能が落ちる」として移転建て替えを主張。県が募ったパブリックコメントでも現地建て替えへの懸念が多数寄せられた。県医師会は構想について「現状の医療体制を堅持できると思えない」とし、協議の時間を持つように求めている。 中部病院については、将来構想検討委員会での議論を踏まえ、本竹秀光病院事業局長が現地での建て替えが最適との判断を示していた。 将来構想では、将来的な患者の増加に備え、現在の延べ床面積の1・87倍に当たる6万6500平方メートルが必要と算出。病院の医療機能を維持し、将来的な医療需要への対応が十分可能であるとして「建て替えは現地が適地」と結論づけた。 一方、102件寄せられておいるパブリックコメントでは、現地建て替えの要望は3件にとどまった。医療や救急の関係者から、現地建て替えについて、2034年度までとされる工事期間中の救急医療の低下や、高層化による弊害、ヘリポート設置への言及がないこ となどに懸念が相次いだ。 県事業局は「機能維持は可能」と言明。ヘリポートなどの課題は「次のステップの基本計画で検討する」としている。
玉城院長は「ヘリポートの設置など基本計画をつくる段になって実現不可能となりかねない。県民や職員の不利益になることは譲れない」と現地建て替えに反対の姿勢を貫いている。 県医師会は「構想策定は時期尚早」としている。玉城研太朗常任理事は「賛否を言うつもりはないが、今の説明だけでは中部病院の医療体制を堅持できない」と批判した。
The Ryukyu Shimpo Co., Ltd