56歳で夫が死亡。ずっと専業主婦でしたが「遺族年金」だけで生活していけるでしょうか? 夫の年収は「600万円」でした
公的年金では、被保険者が死亡した場合に、要件を満たせばその配偶者や子どもが遺族年金を受給できます。遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金がありますが、それぞれ受給要件や受給額が異なるため注意が必要です。 そこで本記事では、遺族基礎年金と遺族厚生年金の仕組みを解説します。また、遺族厚生年金に関しては、会社員だった夫が56歳で死亡した場合の受給額を試算して紹介します。 ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
配偶者が受け取れる「遺族年金」とは
遺族年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者が死亡した場合に、その人に生計を維持されていた遺族が受給できる公的年金です。公的年金保険には基礎年金(国民年金)と厚生年金があるため、遺族年金にも遺族基礎年金と遺族厚生年金が用意されています。それでは、配偶者である妻の受給要件や受給額をみていきましょう。 ・遺族基礎年金の受給要件 妻が遺族基礎年金を受給するための要件は、基礎年金の被保険者だった夫に生計を維持されていたことと、一定年齢未満の子どもがいることです。そのため、被保険者に生計を維持されていたとしても、子どもがいなければ受給できません。 ・遺族基礎年金の受給額 妻が受給できる遺族基礎年金(令和5年4月分から)は、妻本人の年齢によって異なります。67歳以下の場合は年79万5000円と「子どもの加算額」で、68歳以上の場合は年79万2600円と「子どもの加算額」です。「子どもの加算額」は、2人目までが1人年22万8700円で、3人目以降は1人年7万6200円になります。 なお、「子ども」というのは、18歳になった年度の3月31日までの未婚の子と、障害年金の障害等級が1級か2級の20歳未満の子です。また、被保険者の死亡時に胎児だった子どもは、出生後に対象になります。 ・遺族厚生年金の受給要件 妻が遺族厚生年金を受給するための要件は、厚生年金の被保険者だった夫に生計を維持されていたことです。子どもの有無は関係ありません。 ・遺族厚生年金の受給額 妻が受給できる遺族厚生年金は、「夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の金額」です。これは、本来なら65歳から支給されるはずだった老齢厚生年金の、おおむね4分の3の金額ということになります。 被保険者の年収や被保険者期間などによって異なる報酬比例部分は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できますが、自分で計算することも可能です。そこで、次の項目では、56歳で死亡した会社員の夫の報酬比例部分を計算したうえで、妻が受給できる遺族厚生年金を試算してみましょう。