東北の美しい自然を舞台に、生命の尊さを描く名作 浅利演出事務所『ユタと不思議な仲間たち』本日開幕
三浦哲郎による童話を原作に、1977年にミュージカル化され、劇団四季と浅利演出事務所によって大切に育まれてきた『ユタと不思議な仲間たち』。その3年振りとなる再演の舞台が、本日10月31日(木) に東京・自由劇場で開幕する。『ミュージカル李香蘭』や『夢から醒めた夢』などと並ぶ、浅利慶太(企画・オリジナル演出)と三木たかし(音楽)が生んだ傑作オリジナルミュージカルのひとつだ。 ミュージカル『ユタと不思議な仲間たち』ビジュアル 舞台は東北のとある山村、湯の花村。東京から転校してきたユタこと水島勇太は、村の子どもたちに馴染めず、いじめられてばかりいた。ユタの味方は、同級生の小夜子と寅吉じいさんだけ。ユタを気遣う寅吉は、東北地方に古くから伝わる子どもの姿をした精霊“座敷わらし”の話を教え、友達になってみるよう勧める。満月の夜、ユタが古い屋敷で待っていると、座敷わらしのペドロ、ダンジャ、ゴンゾ、モンゼ、ヒノデロが姿を現して――? “不思議な仲間たち”との友情とさまざまな試練を通じて逞しく成長していくユタの物語を、浅利がこだわった南部弁の台詞、日本の原風景を彷彿とさせる舞台美術、そして三木の美しい楽曲群が描き出していく。なかでも小夜子が終盤に歌う「夢をつづけて」は、森進一がカバーしたことでも知られる、本作を代表する名曲だ。 ユタ役は本作初参加の佐藤志有で、小夜子役は前回公演でも同役を演じた鹿ノ子ひより。寅吉役には、劇団四季で長くユタ役を務め、振付も担っている加藤敬二が初めて挑む。座敷わらしのダンジャ役は前回に引き続き山崎佳美、ペドロ役は、前回に引き続き下村青が演じる予定となっていたが、その急逝を受け、同役の経験があり下村の盟友でもあった芝清道が務めることに。 下村はヒノデロ、芝はゴンゾ、ユタの母役の坂本里咲はダンジャでの出演経験もあり、そして演出を担う野村玲子は、かつて小夜子を当たり役としていた。こうした役替わりはやはり、長く続いてきた作品ならでは。さまざまな角度から作品を見つめてきたメンバーだから描ける、奥行きある『ユタと不思議な仲間たち』が期待できそうだ。 文:熊田音子 <公演情報> ミュージカル『ユタと不思議な仲間たち』 原作:三浦哲郎(新潮社刊『ユタとふしぎな仲間たち』より) 企画・オリジナル演出:浅利 慶太 2024年再演版演出:野村玲子 【キャスト】 ペドロ:芝清道 ダンジャ:山崎佳美 ゴンゾ:渡部又吁 モンゼ:小坂姫加 ヒノデロ:小宮山稜介 ユタ:佐藤志有 小夜子:鹿ノ子ひより 寅吉:加藤敬二 ユタの母:坂本里咲 クルミ先生:服部幸子 大作:早川一矢 一郎:小林良輔 新太:黒川賢也 たま子:山村菜海 ハラ子:三井夕萌・横山祥子 桃子:坂井田祥子 2024年10月31日(木)~11月16日(土) 会場:東京・自由劇場