アバターがお答えします! AIで接客する実験店が福岡市・天神に登場
私におすすめのアクセサリーは――? そんな相談にアバター(分身)が応じる新しい店舗が1月17日、福岡市・天神の商業施設「ソラリアプラザ」にオープンしました。3月末まで行う実証実験の一環で、4店が入れ替わりで登場します。 【写真】AIアバターによる接客
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実験は、施設を運営する西日本鉄道(福岡市)と、日立製作所(東京)が実施。「デジタルポップアップストア」と銘打ち、ソラリアプラザ5階の一角(約70平方メートル)に売り場を設けました。 ストアには、接客する「AIアバター」、商品に手をかざすと画面に説明が自動表示される「スマート商品棚」、遠方の店員と画面越しに対話できる「リモート窓口」の三つを備えています。 ◆AIアバター AIアバターは、生成AI(人工知能)を活用して来店者に対応。例えば「おすすめの商品を知りたい」という希望には、選択式の質問を画面に示し、その回答を基に客の求めに合いそうな複数の商品を紹介します。このほか、画面の「アバターと話したい」をタッチすると、店舗に関する質問にも音声で答えます。 アバターは、出店するブランドごとに異なる姿で登場します。第1弾はアパレルなどを扱う店舗「Mo.(モー)」(1月30日まで)で、アバターも同社の商品をモチーフにした装いです。 なお、多言語対応も可能で、今回は英語、韓国語を含む3か国語で接客します。 ◆スマート商品棚 棚の上部に設置したセンサーが客の動きを感知し、手を伸ばした商品について画面で説明します。「Mo.」の場合、この店舗で扱う約130品のうち、特に説明が求められそうなアクセサリー類など36点がスマート商品棚に並んでいます。 ◆リモート窓口 画面を介して、遠方にいる店員に、商品などについて尋ねることができます。カメラに映された商品やウェブ画面を見ながら、詳しく説明を受けられるそうです。
深刻な人手不足
通常の店舗では、商品に精通したブランドの店員を配置する必要がありますが、今回のストアには西鉄側のスタッフが1人だけ常駐する予定。アバターやリモート窓口で接客するため、スタッフは機器の使い方や支払い時のサポート、商品陳列といった一部の業務を担います。 省人化を進める背景には、深刻な人手不足があります。 期間限定のポップアップストアは「『今ここでしか買えない』といった新しさを感じてもらえる」(ソラリアプラザの北野誠一副館長)ことから、商業施設にとってはまさに集客の“エンジン”です。 しかし、出店交渉をする中で「立地は魅力的だが、人員を割けない」という声も多いのが実情。コロナ禍を経て、かつて「花形」だったアパレル店員の職も「立ち仕事の時間が長い」などと敬遠される傾向にあるそうです。 そこで、AIをはじめとする最新技術の導入により、出店のハードルを下げて魅力的な商品をそろえることが、各商業施設の課題になっているといいます。 ICT(情報通信技術)を店舗で活用した西鉄と日立の実証実験は、22年3月、23年3月に続いて3回目。過去2回は1週間ほどでしたが、「プレ運用」と位置づける今回は約2か月半に延ばします。売り場に初めてレジも置き、24年度の本格運用を見据えています。