世帯年収600万円で子どもが2人欲しいです。「児童手当」や「高校無償化」などを利用すれば、高校までは卒業させてあげられますか?
世帯年収600万円というと「子ども1人ならそれほど不安はないけれど、子ども2人だと教育費の負担が苦しいかもしれない」と感じる人が多い年収帯ではないでしょうか。 そこで本記事では、学年別教育費の平均額のデータや、児童手当、高校無償化などの制度の内容を紹介するとともに、年収600万円世帯で子ども2人の教育費のやりくりが可能かどうかを解説します。
夫婦+子ども2人世帯の年収中央値は744万円
厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査」の結果によると、標準4人世帯(夫婦と18歳未満の未婚の子2人の世帯)の年収の中央値は744万円で、年収600万円を大きく上回っています。 しかし、年収600万円を下回る世帯も標準4人世帯全体の30%以上あり、夫婦と子ども2人の世帯の家計を維持するのに著しく低い年収とまではいえないでしょう。
子ども2人の高校卒業までにかかる教育費は?
子どもの有無や人数で大きく変化する最たる支出は教育費でしょう。教育費を負担していけるかどうかは、将来的な子どもの人数を検討するときの1つのポイントとなります。 図表1は、文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」の結果をもとに、子どもの高校卒業までにかかる費用の総額をまとめたものです。 【図表1】
文部科学省「令和3年度子供の学習費調査 2 調査結果の概要」より筆者作成 仮に、3歳違いの兄弟で2人とも一貫して公立校の場合、下の子が中学1年生、上の子が高校1年生のときに教育費がピークとなります。年収600万円に対して2割ほどの教育費がかかる計算です。 私立学校の場合、ピークとなる小学校1年生のときには、1人分の教育費だけで年収600万円の3分の1を支出する計算となります。義務教育機関は私立進学者向け公的な補助金などがないこともあり、2人とも小学校から私立という進学パターンは厳しいかもしれません。
子ども2人家庭が受けられる公的な手当てや補助金は?
日本には、子どもがいる家庭を対象とした、子育て費用や進学費用を支援する手当や補助金が用意されています。公的な手当や補助金を活用することで、子育てにかかる費用の負担を大きくおさえられるでしょう。 主なものとして挙げられるのが「児童手当」「高等学校等就学支援金」の2種類です。それぞれの支給内容や対象者などの条件を、簡単に紹介します。 ■児童手当 児童手当は、中学校卒業までの子どもの養育者に支給される手当で、第2子までは次の金額が支給されます。 ●3歳未満:1万5000円 ●3歳~中学生:1万円 受給要件として所得制限がありますが、子ども2人の世帯のボーダーラインの目安は年収900万円を超えているため、年収600万円の世帯は全額受給できるでしょう。 子ども2人分だと、年齢に応じて1年間に24~36万円が支給される計算です。子どもが小さく教育費がかからない時期は、将来の教育費として貯めておくのもいいでしょう。 ■高等学校等就学支援金(高校無償化) 高等学校等就学支援金は、高等学校の授業料に相当する金額を支給する制度です。公立学校に通う生徒には年額11万8800円、私立学校等に通う生徒には年額39万6000円を上限に、世帯の所得に応じた金額が支給されます。 年収600万円世帯の場合は、両親の就業状況などの条件によって年額39万6000円を満額受け取れるボーダーラインを超えるケースが想定されるため注意が必要です。