「ヴェルサーチェ」5割引き、中国で高級ブランドが値引き合戦
デジタル・ラグジュアリー・グループの中国コンサルティング担当マネジングディレクター、ジャック・ロイゼン氏は、「想定外で率直に言って思慮に欠けると思われるのは、こうしたディスカウントが、世界で最も目につきやすい消費者との接点である天猫で行われていることだ。五番街やシャンゼリゼ通りで市民に販売しているのも同然だ」と指摘した。
ケリングはコメントを控えた。カプリとLVMHにもコメントを求めたが返答はなかった。バーバリーも値引きについてコメントしなかった。
景気減速が家計資産を圧迫する中で、こうした戦略は、世界的な高級ブランドが中国本土で直面している苦境を浮き彫りにしている。
売り上げ強化と業績向上で中国頼みの高級ブランドだが、中国ミドルクラス(中間所得者層)の間では節約強化や値引きセール待ちに加え、高額商品の購入を断念する動きが見られる。
中国市場の需要低迷は、既に高級ブランドの業績に打撃を与えている。ケリングは4月、主力ブランド「グッチ」が中国で販売不振となった影響で、上期(1-6月)は最大45%減益になる恐れがあると警告。バーバリーの株価は、中国と米国での需要低迷を受け、この1年に5割余り下げた。
仏ケリング、1~6月は利益急減へ-中国富裕層グッチ買い控え
円安も、中国での売り上げ低迷の一因だ。見つけられる限りの最安値を求めて日本に人が集まっている。
サンフォード・C・バーンスタインの小売りアナリスト、ルカ・ソルカ氏は「こうした状況を考えると、予想以上に売れ行きが悪いブランドが在庫処分で利益を確保し、販売促進策を展開するのは自然な流れだろう」と分析した。
原題:Luxury Labels Slash Prices 50% to Lure Wary Chinese Shoppers(抜粋)
--取材協力:Jinshan Hong、Deirdre Hipwell.
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Shirley Zhao