ロシア軍、東部のクラホベ─ポクロウシク軸に集中 トランプ当選で戦争は新局面に
ウクライナ軍の第46独立空中機動旅団は数週間前から、東部ドネツク州クラホベの自陣に対するロシア軍の大規模な攻撃に備えていた。4日、それはついに起こった。ロシア軍の装甲車両少なくとも14両が突撃してきた。その多くは歩兵を満載していた。 この突撃は、クラホベの北方およそ40kmに位置する要塞都市ポクロウシクと近隣のミルノフラド方面でウクライナ軍の防御線を押し込んでいくという、しばらく前から予想されていたロシア軍の行動の開始を告げる攻撃のひとつだった。ポクロウシクが陥落すれば、ドネツク州のウクライナ側の防御線全体が崩壊するおそれがある。 クラホベ郊外で次に起こったことはウクライナにとって朗報だが、束の間のものかもしれない。たしかに第46空中機動旅団はこの突撃を粉砕した。だが、今後もさらに同様の突撃が続くのは確実だ。 ロシア軍の車両は縦隊を組み、自軍の支配するドネツク市から西へ伸びる幹線道路のひとつを進んできた。そして、クラホベの東数kmでウクライナ軍の地雷やクラスター砲弾、自爆型や擲弾投下型のFPV(一人称視点)ドローン、対戦車ミサイルの壁にぶつかった。 ロシア軍の車列は激しい爆発に見舞われて停止した。破壊された車両から逃げまどうロシア兵に、ウクライナ軍のドローンは擲弾を投下している。 ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー最高司令官(大将)は8日、この攻撃などの映像を含む動画をソーシャルメディアで共有し、「われわれは追跡するし、見えるし、燃やす。ウクライナの戦士たちの技量は侵略者ロシアに付け入る隙を与えない」と誇っている。 現実は違う。ロシア軍部隊はウクライナ軍の防御線に突撃しては凄まじい人的損害を出すことを繰り返しながら、なお進軍を続けている。ロシア軍は死亡や負傷などで1日に1000人を超える人員を失っているものの、それを補えるだけの数の新兵を集めている。また、北朝鮮からの大勢の援軍にも助けられている。 ロシア軍は4日にはクラホベ郊外で敗北したとはいえ、東部、とりわけドネツク州では全体的に前進している。ウクライナのジャーナリスト、スタニスラフ・アセーエフは、ブフレダルやセリドベの失陥に触れながら「2カ月前、わたしはドネツク州の南部戦線全体が崩壊する脅威について書いたが、いまやそれは現実のものになっている」と危機感を示している。