【あなたの山林が狙われる!】日本で蔓延頻発する違法伐採、盗伐被害で山崩れを誘発、世界が日本を問題視
盗伐という犯罪の特殊性
盗伐は表沙汰になりにくい犯罪である。まず地元に住んでいない森林所有者は、盗伐されたことに気付きにくい。盗伐(森林窃盗罪)の時効は3年だから、発覚したときには手遅れだった事例もある。 見つけても、森林境界線が不明確だったり相続時に名義を変えていなかったりすると、盗伐されたのが自分の山林であることを証明しづらく泣き寝入りになりやすい。何より警察は、山奥の犯罪で捜査や立件が難しいことを嫌がり、被害届を受理しない。 それに木材価格が下落している昨今では、数十年育てた木であろうと損害額は1本当たり数千円程度に見積もられる。育ててきた山主の思いは斟酌されないのだ。 ちなみに国際的には、他者所有の木を盗む行為だけでなく、保護林や保護樹種の伐採や、役人への賄賂で得た許可、産地や樹種などの偽造、そして密輸など法律を犯して木を収奪した行為はすべて違法伐採・違法木材として扱われる。 日本もその定義に従えば、違法木材の幅は一気に広がる。たとえば必要な伐採届を出さない、伐採届に記載した再造林をすっぽかす、産地を偽装する……などを含めたら、国産材の過半が違法木材になる可能性がある。 輸入材にも違法性の高いものが多く紛れ込んでいる。東京2020オリンピック・パラリンピックでは、メイン会場となった新国立競技場の建設に使われたコンクリートパネル(型枠材)が、違法伐採された木でつくられた可能性が高いと世界中の環境NGOから批判を浴びた。日本に違法木材の輸入を止める法律がない点も指摘された。 クリーンウッド法は18年に制定(23年に一部改正)されたが、これは合法木材利用推進を謳うだけで、違法な木材を扱うことを禁止していない。しかも努力義務であり、違反しても罰則はない。 そもそも登録制だから、登録していない業者は、この法律を適用されないという不思議な代物である。取引する木材に添付される合法証明書も、発行するのは販売する当事者なのだから、何の証明にもなっていない。