楽天・星野監督が語るオリックスの強さの理由
勢いから自信へ
1番・ヘルマン、2番・平野、3番・糸井、4番・ペーニャと、打順が固定されて、リズムが生まれた。ヘルマンと糸井のラインは機動力がつかえるので、つかみどころがない。ペーニャは、来日1年目に21本塁打を記録したポテンシャルがあった。昨年は、膝の手術でわずか55試合、1本塁打に終わったが、故障さえ治れば、1年目以上にブレイクする素養はあった。特に対左投手には、打率.381、8本、17打点と圧倒的な存在感を示す。ただ、ペーニャの後ろの打者が問題で、そこが弱ければ勝負してもらえなくなる。対左投手には、高橋を起用するなど5番打者は変えていたが、ここにきて、T-岡田に信頼感が生まれ始めて、ペーニャとの相乗効果につながっている。 星野監督は、「オリックスを乗せたのは、うちの責任」と自戒する。開幕3連敗、そして4月下旬のカードでも、また3連敗と、すっかりオリックスのカモにされてしまっている。「開幕からの成績というものには、チームの勢いが大きく影響する。これまで、負けているチームは、負けると『また今年も駄目か』とあきらめの気持ちが先に出てしまうけれど、勝つと自信に変わっていく。私が阪神の監督時代にやったのは、その手法。その意味で、うちが開幕直後のカードで3連敗して、オリックスに勢いをつけてしまった。オリックスの好調を作った原因は、うちにあると言ってもいいんじゃないか(笑)」
メンタルの余裕
評論家の与田剛氏も、そういうメンタル面が好調の理由だと見ている。「私は、昨年まで開幕前にオリックスを毎年上位に順位予想していたんです。それだけ戦力はありました。ただ、シーズンに入ると怪我人などの不運も重なり機能しなかった。でも、今年は、投打に余裕を感じる。打線が固定されていて、点が取れるので、投手陣が、1点じゃなく2点を失ってもOKのピッチングができる。ボールゾーンが使える。投手陣が踏ん張ると、今度は、打線に『点をとってやろう』とスイッチが入る。また、金子、西が投げるときには、『1点を取れば勝てる』と、ベンチの采配にも余裕とひとつの方針が生まれる。すてにおいて余裕というものが、プラスの相乗効果を生んでいると思うんです。決して“今だけ”の好調ではないでしょう」 エース、金子の投球に不正疑惑がかけられるなど、オリックス潰しへの揺さぶりも見え隠れしてきたが、14年ぶりのオリックス旋風は、果たしてどこまで続くのだろうか。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)