市川染五郎×中島瑠菜「時代劇は、理屈抜きで楽しめるジャンルなのだということを知ってもらいたい」
――撮影が行われた京都での印象的な思い出があれば教えてください。 染五郎:自分は京都を観光する時間があったので、いろいろなところを訪れて、揚げ物がのっているパフェも食べました(笑)。以前京都に行った時、お店の外にエビフライやカツがのったパフェの食品サンプルが並んでいる喫茶店があって、気になっていたんです。甘さとしょっぱさの相性がよくて、おいしかったですよ。 中島:私は今回ホテルと撮影所の行き来で終わってしまったんですけど、街を歩いているだけでも楽しくて、「私の大好きなわらび餅屋さんがあるな~」って思っていました(笑)。次に京都に行った時は、絶対に食べたいです!
時代劇は、理屈抜きで惹きつけられるジャンル
――役を演じていて、時代劇ならではの大変さはどういうところにありましたか? 染五郎:江戸弁を普段から使い慣れている感じでしゃべらなければいけないのは、いちばん難しかったです。今回は殺陣のシーンもあったのですが、動きや順番ばかりに意識がいってしまうと、役ではなくなってしまう。何のために相手と戦っているのかを考えて、それを自分の中に置いて演じることも大変でした。 中島:私が演じた少女時代のおまさは“盗人酒屋”という居酒屋でお手伝いをしていて、お酒をつぐ手もとだけのカットを撮るシーンがあったんです。最初は大きな樽からお酒がどんなふうに出てくるかがわからなかったので、栓を抜いた瞬間ビックリしてしまって。その後、「お酒がこう出てくるなら、器はこれくらい傾ければちょうどいいかな」と修正していったのですが、慣れない道具や物の扱いを、細かいところまで計算してスムーズに見せなければいけないところは大変だなと思いました。
――モア読者に向けて、おふたりが考える時代劇の魅力を教えてください。 染五郎:これは父も言っていたことなのですが、実際にあった時代を描いてはいますが、どこか非現実的な世界にいるような感覚になれるところだと思います。そして、殺陣のシーンは特にそうでしょうけど、理屈抜きで楽しめるジャンルなんだということを知ってもらいたい。「筋を理解しなきゃいけない」と気負わず、まずは時代劇の風景の美しさや殺陣の迫力を感じていただきたいなという思いです。 中島:私自身、中学生の頃は時代劇と聞くと、難しそうで避けていたジャンルでした。でも、いざ見てみたら、すごくおもしろかったんですよね。今回試写で『劇場版「鬼平犯科帳 血闘」』を見た時も、夢中になりすぎて、まばたきすることを忘れて目が乾燥してしまったくらい。だから、みなさんにも時代劇を見てもらえたら、きっと惹きつけられるものがあるのではないかと思います。