吉田戦車さんに聞く「日本の食と農」 車窓から見る田、永遠に
きょう(取材日)の昼食は、中学3年生の娘のお弁当に作った焼きビーフンの残り。どうしたら冷めても麺がぼそぼそにならないか、とか試しています。 【動画で見る】吉田戦車さん、農家へのメッセージ ここ数年、朝食夕食と娘のお弁当を作っています。妻(漫画家の伊藤理佐さん)が仕込んだみそを使い、カツオや煮干しだしは当たり前のようにとります。食事は結構保守的。昔の日本食志向です。 (ご飯に合う肉料理を求めて忍者が活躍する)「肉とメシ」は偏食の世界だけど、その前の「おかゆネコ」を描いた時は米のことを真剣に考えた。江戸時代は水車で半づきだったと読めば、精米機で5分づき3分づきにして味わったり。輸入小麦のラーメンやパンも好きだけど、現状の食料自給率で大丈夫なのだろうかと思います。 スーパーに買い物に行くと、味付けの細分化が進んでいると感じます。鍋のスープがいろいろ並んでいるのは、献立を考える立場にとって頼もしい。カップラーメンの具材を集めた商品なんて、僕らが昔飲み屋で話してた笑い話みたいなノリですよね。世の中のオタク化やマニア化を横目に見つつ楽しんでいます。 故郷の岩手には、よく帰ります。JA岩手ふるさとの「来夢くん」とか地元の産直を回るのが恒例。お気に入りはJA江刺の「江刺ふるさと市場」。古い食堂で地元のじいちゃんばあちゃんが食事する雰囲気が好きです。 東日本大震災で津波被害を受けた陸前高田市や大船渡市にもよく行きます。父が単身赴任していた地で初めて海釣りもした所。復興は進んだものの、外部からは生活の実態が見えづらい。地元の人が住みやすいといいのですが。 祖父母が米を、おじはリンゴを作っていました。田植えや稲刈りを手伝ったり、稲わらで遊んだりしたのが原風景。農家の皆さんには感謝しかない。ご苦労が報われる行政であってほしい。岩手に帰る時に乗る東北新幹線の車窓はずっと田んぼ。この風景が変わらないよう願っています。 (聞き手・山口圭一)
日本農業新聞