強肩強打の捕手が引っ張る報徳学園 21年ぶり頂点へ センバツ出場校紹介
春夏優勝3回の名門が2018年夏以来5年半ぶりに聖地に戻ってくる。6年ぶり22回目の出場となる報徳学園(兵庫)昨秋の近畿大会は10年ぶりに決勝に進出し、明治神宮大会覇者の大阪桐蔭に0―1と肉薄した。総合力の高さは出場36校の中でもトップレベルだ。
長身右腕のエースら豊富な投手陣
1932年創部の野球部には97人が所属する。伝統の堅守に加え、打線は切れ目のなさとクリーンアップの長打力が光る。昨秋の近畿大会では、履正社(大阪)や智弁和歌山を次々に破った。決勝は大阪桐蔭に0―1で敗れたが、センバツの舞台で雪辱を誓う。
攻守の柱は捕手の3番・堀柊那(2年)。二塁送球は1.8秒台、強肩強打の扇の要だ。昨秋の打率は4割9厘と、打撃は長打力と確実性を兼ね備える。 4番の石野蓮授(2年)は近畿大会で3試合連続本塁打を放った。高校通算26本塁打で、パワーは今秋ドラフト候補の堀に勝る。1、2番が出塁して足でかき回し、堀、石野ら中軸で還すのが王道の得点パターンとなっている。
投手陣の層は厚く、キレのある速球と変化球で勝負する187センチの盛田智矢(2年)がエース。大阪桐蔭戦に先発し4三振を奪った間木歩(1年)、本格右腕の今朝丸裕喜(1年)、左腕の今堀佑哉(1年)らが控える。
「常に先へ」走塁改革が浸透
永田裕治前監督(日大三島)から引き継いで就任7年目の大角監督は3年前から走塁改革に着手。リード幅を広げるなどし、練習から常に先の塁を狙う姿勢を身につけさせてきた。昨秋は12試合で36校中2位の計34盗塁。それも「ほとんどがノーサイン」(大角健二監督)なのが意識浸透の証だ。また、葛城育郎氏(元阪神など)が21年春にコーチ就任。週に2、3回グラウンドを訪れ、プロ12年で培った経験や打撃技術を伝えている。 優勝候補筆頭だった昨夏の兵庫大会は5回戦でまさかの敗退。「一人一人の判断力が欠けていた」と大角監督。「指示待ち」ではなく、選手自ら考えて行動できるようにするため、ミーティングでグループワークに取り組ませ、判断力、主体性醸成に努めている。 目標は21年ぶりの春の頂だ。大角監督は「『報徳ここにあり』と示したい。勝利はもちろん、感動を与えたい」と力を込める。 堀は「まだまだ伸びしろのあるチーム。目指すは全国制覇」と意気込む。大角健二監督は「苦労してつかんだ大舞台。勝つための野球を甲子園でも見せたい」と話す。
OBに広島・小園海斗選手らプロ多数
1911年、報徳実業学校として創立。52年に校名を現在の報徳学園中学・高校に改称した。質素倹約に努めた二宮尊徳(幼名・金次郎)の思想を教育の柱とする。生徒の属性や希望する進路に応じて選抜特進、特進、進学のコースを設置している。クラブ活動が活発で、文武両道を目標とする。 甲子園にはこれまで春夏計36回出場。74年春、81年夏、2002年春の3回、全国制覇した。プロ野球界に小園海斗選手(広島)ら多数を輩出し、金村義明さん(元近鉄など)、松本匡史さん(元巨人)らもOBだ。ほかにラグビー部や相撲部、陸上部などが全国大会で活躍する強豪。