台湾BLドラマ『奇蹟』のカイ・シュー(徐愷)&タロ・リン(林毓桐)にインタビュー!【Kiseki Vol.1】──「僕たちには、ふたりにしかわからないことがたくさんあります」
新世代の若手俳優が結集した台湾発のBLドラマ『奇蹟』が日本でも大きな話題になっている。昨年末、キャスト13人で来日を果たした際、『GQ JAPAN』は全員へのインタビューを敢行! その第1弾は、メインCP(カップリング)のファン・ジョールイとバイ・ゾンイーを演じるカイ・シューとタロ・リンだ。 【写真つきの記事を読む】ふたりのカッコいい写真をもっと見る!(全14枚)
これまでにも良質なBLドラマの数々を創出してきた台湾。なかでも、脚本家のリン・ペイユー(林珮瑜)は、「We Best Love」シリーズ、「HIStory」シリーズ(『ボクの悪魔』『是非~ボクと教授』『越界~君にアタック!』『圏套~ラブ・トラップ』)といった数々のヒット作を生み出してきた。そのリン・ペイユーが原作・脚本を手がける待望の新作が日本にも到着。それが、運命的に出逢った4人が紡ぎ出す、揺るぎない愛を描いた『奇蹟』だ。 メインCP(カップリング)は、医学を志す苦学生のバイ・ゾンイーとヤクザ組織のメンバー、ファン・ジョールイ。最初こそゾンイーにとってジョールイは疎ましい存在だったが、料理や勉強も得意なジョールイと過ごすうち、ゾンイーの孤独感は薄れていき、やがてジョールイを愛するがゆえにヤクザの抗争に巻き込まれることに……。 ドライな性格ながらも、そのまっすぐさに情熱を感じるバイ・ゾンイーを演じるのは、新星タロ・リン(林毓桐)。ヤクザであるだけでなく、多様な顔を見せるファン・ジョールイ役のカイ・シュー(徐愷)が、その存在感と演技力で物語を牽引する大きな力となっている。 台湾の若手俳優のなかでも大注目の2人に、『GQ JAPAN』がインタビューした。 ──カイ・シューさんが『奇蹟』への出演を決めた理由を教えてください。ファン・ジョールイは心の動きや愛し方で両極端な面を見せたり、ヤクザという身分を隠した職業に扮して現れたりもして楽しませてくれますが、演じるのが難しいキャラクターだったのではないでしょうか。 カイ:このドラマは愛をテーマにしていて、僕が演じるジョールイは愛を表現する役だったので、チャレンジしたいと思いました。原作小説を読んだとき、どうしても彼を演じたいと感じたのです。 監督と脚本家と最初の打ち合わせをしたとき、ジョールイを演じるにあたってひとつの方向性を決めました。台湾人の言い方で“油っぽい”というのがあるのですが、演技が“油っぽい”のはダメだ、と。ドラマ序盤では、ジョールイは遊び人風でしたが、その演技をやりすぎてしまうと“油っぽく”なるんです。ジョールイは自分自身を守るためにそう見せていただけであって、本来の姿ではありません。なので、そこは感情の振り幅を激しくすることで表現しなくてはいけませんでした。 でも、それよりも難しかったのは、ジョールイの精神はどこまで健康なのか、という点です。最初、病むほどではないにしても、彼はいろんな悩みを抱えています。それがゾンイーとの出会いで救われ、精神がどんどん健康になっていく。その変化を表現するのがすごく難しかったです。 僕はそこを重視して、ジョールイ役を理解し、演じることに力を尽しました。外側がどう見えるかではなく、彼の心の奥深くまでいかなければ、このキャラクターの魅力を出すことはできませんでした。 ──タロ・リンさんは、ドラマ初出演にしてメインキャラクターを務めました。どんな気持ちで撮影に臨んでいましたか? タロ:僕は、以前バドミントンの選手だったんです。その世界にいたときの自分は、今のような楽しさや喜び、嬉しさを知らなくて……。今回、新たに俳優として撮影に入るときには平常心でいたいと考えていたので、特に緊張したり気合いが入りすぎたりすることもなく、ごく自然な状態で撮影に臨むことができました。 撮影中、僕にとってカイは頼れる兄貴でもあり、現場にいてくれると安心できる存在だったので、現場で僕が平常心でいられたのは彼のおかげです。 カイ:タロは新人ですが、いろいろな先生から学び、監督たちからもたくさんのアドバイスを受けていたので、僕の意見はもう必要ないと思っていました。だから、僕は彼との心の交流に集中していました。 ──劇中、年の差CPでもあるふたりですが、撮影現場などで実際にジェネレーションギャップを感じたことは? タロ: 最初は本当にジェネレーションギャップが激しかったです(笑)。オーディションと合宿を経て、このふたりにキャスティングが決まってから、クランクイン前にみんなで共同生活をした期間がありました。実はそのとき、僕はカイの言っていることがあまりわからなかったし、リズムが合うわけでもなかったんです。 カイ:僕も最初はタロがそう思っているんだろうな、というのは感じていましたよ。何しろ10歳くらい離れているので、興味の対象もふたりのテンポも全く違って、ギャップはありました(笑)。 タロ:でもこれではダメだと思い、ちゃんと向き合おうとふたりで話し合って、一緒に出かけたりもしました。撮影と宣伝活動を経た今では、僕たちは、ふたりにしかわからないことがたくさんあるくらいの仲です。 カイ:自分と全く違う人と一緒にいるには、心を大きく開き、相手を受け入れるようにしないといけません。リズムを合わせるようにして、相手の長所を学びながら関係を築いていきました。それはまさに、ドラマの中のジョールイとゾンイーと同じ。僕たち自身が演じた役もそんな感じで、やっていくうちにどんどん関係を深めていきました。 タロ:カイは僕を優しく受け入れてくれました。僕が痩せてきたなと思ったら、じゃあジムへ連れて行ってあげるよ!ということもあり、僕に不足していると思う部分を補う手助けまでしてくれたんですよ! ──ゾンイーはジョールイへの愛をまっすぐにぶつけます。タロさんはゾンイーの愛し方をどう思いますか? またご自身は、もし誰かを好きになったらどのようにアプローチしますか? タロ:ゾンイーはまっすぐに気持ちを伝えることができて、本当に勇気があると思います。僕が最初にゾンイーのキャラクターを考えたとき、第一に勇敢である、と設定しました。ゾンイーは子ども時代のトラウマがあるけれど、高校に通いながらバイトもして家族を支えているから、すごく強くならないといけないので。 僕自身はというと……ストレートに気持ちを表現することができません(笑)。もし好きな人がいるとしたら、ちょっとプロセスを踏む感じだと思います。まず、自分の能力と魅力を磨いてアップさせてからアピールする。でもそうするとしても、あえて曖昧な雰囲気を作り、最後にちょっとだけヒントを出す、ってくらいじゃないかな(笑)。 ──ゾンイーの気持ちを知ったジョールイは、それまで自信家に見えていたのが急に戸惑いはじめます。カイさんはこのような感情の動きに共感する部分はありますか? カイ:はい、とても共感できます。僕自身の経験でいうと、本当に誰かを好きになると相手のことだけじゃなく、自分自身のこともいろいろ考え始めますよね。自分のこれからについて考え、ちょっと自信が持てなかったり先が見えなかったりするときに戸惑いますね。 ──嵐の夜(第7話)のベッドシーンはとても繊細に愛を表現していて丁寧に描かれていました。どのような演技指導があって、どんな気持ちで挑んでいたのでしょうか。 カイ:ベッドシーンは第7話の頭からですが、第6話の後半から台風のシーンになります。トラウマを抱えるゾンイーが不安になっていて、心配したジョールイが駆けつけるとふたりは揉め合いになり、ゾンイーがケガをしてジョールイが手当する。そのあとにベッドシーンがあるのですが、撮影順もその流れだったので、僕たちも感情を積み上げ、高めていくことができました。 ケガを手当しているときの、ゾンイーが僕に向けた眼差しがとても優しくて、僕は彼の魅力をキャッチしたままベッドシーンに入ることができたので、撮影はすごくスムーズでした。 親密な演技については、プロデューサーのアニタさん(宋鎵琳)から、手はここに置いてどう触るかなど、全ての動作に対してとても細かく指示されていました。また監督からも、かなり細かく決められているカメラワークやカット割りの説明を受けていたので、彼らにはすごく感謝しなきゃいけないですよね。 タロ:(コソッと)リードしたのは僕だよ。 カイ:今、タロが横で「リードしたのは僕だ」と言って、僕も「いや自分だ!」とお互い主張していますけど(笑)、主にリードしたのは自分です。僕の方が歳も上だし、経験もありますからね(ニコッ)。 【お知らせ】 撮影の様子をおさめたショートムービーを、Instagramに近日投稿予定! @gqjapan をフォローしてお待ち下さい。お楽しみに! GQ JAPAN公式Instagramアカウント:https://www.instagram.com/gqjapan/ カイ・シュー(徐愷) 1993年2月3日生まれ。身長180cm。17歳の時にモデル事務所に見出され、2010年にモデルデビュー。20年『媽!我阿榮啦』で主演。ドラマ、映画に活躍。YouTubeチャンネル「秘境獵人」で、台湾各地の秘境を訪ねて歩く。 タロ・リン(林毓桐) 2002年12月11日生まれ。身長188cm。『奇蹟』でドラマデビュー。今後の活躍が期待される、新世代俳優の一人。 『奇蹟』 Rakuten TV、ビデオマーケットにて全話好評配信中! ©2023 “KISEKI: DEAR TO ME” Partners All Rights Reserved. 公式ホームページ:https://www.cinemart.co.jp/dc/t/kiseki.html Blu-ray BOX & DVD-BOX<初回限定版> 2月9日(水)発売 BD:16,500円 DVD:13,200円(税込) 発売元:エスピーオー/Rakuten TV/ビデオマーケット 販売元:エスピーオー 取材と文・小俣悦子、写真・ホシダテッペイ、編集・横山芙美(GQ)