北海道コンサドーレ札幌 起用法は動けるか動けないか 岩政監督の厳しさに期待…三上大勝代表取締役GMのコンサ便り
このオフ、移籍する選手はいるが、来季のポイントになるであろう選手は引き留めることができた。その中で一番危惧していたのが青木だった。今季で契約が切れる状態だったから、誰もが取りやすい状況にあった。近藤にも興味を持っているクラブは多かったが、青木の方が難しいと思っていたので。そこを何とかできたのは大きかった。 現在、一昨年までプレーした高嶺にオファーを出している。本人はベルギーに行っても札幌への思いを常に持ってくれていたので勝負をかけた。クラブ間の交渉は進んでいるが、年内の決着は難しいとは思っている。仮に獲得できなかった場合でも他の選手は考えていない。大体大を卒業する木戸と合わせ、新加入は最大で2人の見込みでいる。 来季は岩政監督の下で勝負する。彼が重要視しているのはトップ下。システムはこれまでの3―4―2―1ではなく、3―4―1―2の感じでいくと思う。更に2トップも左右のペナルティーエリアくらいに広がる形を取り、真ん中の空いたスペースに変化をつけられる青木やボランチの選手が入ってくるようなイメージになる。 もう1つ、攻撃で大きく変わるのは流動性がより出てくるかと。前監督のミシャは、例えば右ウィングバックの近藤なら右ワイドの位置から基本的には動いちゃダメという考え方で、縦の5レーンでポジションがあまり動かなかった。ただ岩政は一番右から真ん中のレーンに入ってきたりをむしろ勧めている。分かりやすく言うと、今季最終の柏戦(1〇0)で近藤が右サイドから中に入り、武蔵が真ん中から縦パスを出し、追い抜いた近藤がゴールを決めたような流動的な形が増えると思う。 守備に関してはGKからビルドアップすることはこれまでと一緒だが、3バックも幅を取りなさいというミシャに対し、ボールを奪われたときのリスクがあるから横の距離は縮めるというのが岩政の考え方。攻守ともミシャのように対角線も使ったり3人目の動きもあるから、今までやってきたことがベースにはなる。その中でビルドアップの際の選手間の距離は近くなり、その中でテンポよく相手を外して前に持っていく。そこで取られても、切り替えさえしっかりすれば簡単には失点しないという形を取る。守り方も押し込んでいるときは人にいくが、難しければ人からスペースに切り替えるという考え方。緻密(ちみつ)さは出てくると思う。 俺自身はすごく手応えは感じている。監督自身が本当にいいサッカーをしようとしてくれているし、今年の課題だったけがに関してもフィジカルコーチをサポートするパフォーマンスコーチを導入することで、選手の状態をより把握した練習を実施できると考えている。岩政が常に使うのが「競争」という言葉。選手起用も主力だからとかでなく、全てはトレーニングで動けるか動けないかだと言っている。その厳しさでより競争を促し、組織力を高めてほしい。 (株式会社コンサドーレ代表取締役GM 三上大勝)
報知新聞社