空き家たくさんあるのに使えない 倒壊やごみ屋敷化懸念、移住希望者への貸し出しへ対策に本腰
朝日村が近年増加する空き家対策に本腰を入れている。11月には村内の空き家で初の略式代執行を終えた。2月にまとめた「村空家等対策計画」では、2029年度までに空き家を減らすとともに、移住希望者が数日間滞在できる「お試し住宅」としての活用を目標に掲げる。一方、活用策として10年に始めた賃貸用の「空き家バンク」の登録は12日時点で2件。紹介できる建物が足りない状況で、村は空き家の調査や持ち主への呼びかけを進めている。 【写真】解体される空き家の内部
初の「略式代執行」で強制的に解体
周囲に住宅が並ぶ同村西洗馬の空き家。11月27日、委託業者による解体が終わり、更地に戻った。空き家対策特別措置法に基づく村内初の略式代執行で、10月から建物内外に堆積していたごみの片付けを進めていた。
対象になった空き家は1979年築の木造セメント瓦ぶき平屋建て。昨年1月に所有者が亡くなり、管理されなくなった。住宅地にあり、倒壊の危険があることなどから、今年6月に「特定空き家」に認定した。村建設環境課は「本当は所有者が管理できるうちに考えてもらわないといけない」とする。
空き家はたくさん 「人ごとではない」
村は21年度、初めて本格的な空き家調査を実施。水道の利用状況などから空き家と思われる156軒の物件を調べた。所有者が特定できた物件へのアンケートや外観から、物置などとして利用している建物を含む114軒を空き家と確認。代執行した空き家がある原新田地区の羽多野守人地区長(68)は「今回はたまたまこの1軒が対象になったけれど、村内に空き家はたくさんある。人ごとではない」との思いを口にした。
めどが立たない移住に向けたお試し住宅の建設
村はこの調査結果を踏まえ、23~29年度が対象の空家等対策計画をまとめた。29年度までに空き家を100軒まで減らし、空き家を活用した移住お試し住宅2軒の新設を目指す。ただ、現状ではお試し住宅に適した空き家がなく、新設のめどは立っていない。
そこで村は9月から試験的に、村の宿泊施設「緑の体験館」のコテージを「移住お試し住宅」とする取り組みを始めた。体験後にアンケートを提出する条件で、移住を検討している人が1組1泊5千円で2~6泊滞在できる。移住前に村の環境を体験してもらう狙いだが、まだ利用者はいない。村は周知に努めつつ、「まずはコテージのお試し住宅で移住に関するニーズを把握したい」としている。