若者を惹きつけるポップアップストアと、伝統職人の苦境…ソウル・聖水洞の二面性
【11月27日 KOREA WAVE】短期間の限定店舗「ポップアップストア」が若者をひきつけるソウル・聖水洞(ソンスドン)。その集中地である演武場(ヨンムジャン)通りが活況を呈する一方、地元の靴職人らが家賃高騰で苦境に立たされている。 11月24日午後1時ごろ、あるポップアップストアの前には、約150人が服を買うために列を作っていた。この日は、ストアが入場制限を設けたため、店の前には長蛇の列ができ、開店初日には300人以上が詰めかけた。20代女性の利用客は「開店20分前に来て、30分ほど並んで購入できた」と話しながら、行列の写真を撮る姿も見られた。 ポップアップストアのこのような流行は、週末になると多くの市民を聖水洞に引き寄せている。聖水洞のポップアップストア集中地である演武場通りには、ユニクロをはじめとした各店舗にも行列ができていた。ポップアップストアの特徴について、ある利用客は「新商品や限定商品が手に入るし、特典付きのイベントも多い」と魅力を語った。 一方で、その人気による地価や賃料の上昇が地元の伝統産業に影響を与え、住み慣れた土地を離れざるを得ない地元の職人たちが増えている。 同じ時間帯、「手作り靴街」は静まり返っていた。靴職人たちが集まる共同販売場には人影が少なく、多くの店舗が休業していた。 靴職人歴54年のパク・グァンハンさん(69)は、かつて演武場通りで営業していたが、家賃の高騰により現在は共同販売場で工房を構えている。1990年代、聖水洞には手作り靴とその材料を扱う業者が集まり、街全体が活気に溢れていたという。しかし、近年の家賃高騰により600以上あった材料業者の多くが撤退し、職人たちの取引先も散り散りになってしまった。 パクさんは「靴作りには多くの素材が必要で、以前は隣の店で革を、さらに隣の店で靴底を調達できたが、今ではそうした便利さが失われた」と語る。そして「時代の流れには従うべきだが、非常に悲しいことだ」と胸中を明かした。 城東区は2015年、「地域コミュニティ相互協力と持続可能な発展区域指定に関する条例」を制定し、地方自治体の協議会を通じて「gentrification(住み慣れた地域から追い出される現象)防止3法」の改正を推進している。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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